弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第75回)チェックすべき2021年施行の改正法令(前編)

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公開日:2020.12.01

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 新型コロナウイルス感染拡大に揺れた2020年も年末を迎えました。今回は2021年1月以降に施行される改正法令について、概説します。ご紹介する法令などの改正がご自身のビジネスに関係するかどうか、ぜひチェックしてみてください。

 2021年に施行される改正法令は多岐にわたりますが、本記事では、その中でも特にビジネスに影響の大きいものをご紹介します。前編では、2021年1月から3月末までに施行される予定の改正法令について解説します。そして来月の後編では、2021年4月以降に施行される改正法令について紹介します。

●労働者派遣法関係(2021年1月1日施行)

改正の概要

・派遣労働者の雇い入れ時の説明の義務付け
 派遣元企業は派遣労働者に対し、派遣元企業が実施する教育訓練および希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容について、雇い入れ時に説明することが義務付けられます。また、教育訓練計画の変更時も、速やかな説明が義務付けられます。

・労働者派遣契約書の電磁的記録による作成も可能に
 派遣元企業と派遣先企業との間で締結される労働者派遣契約について、電磁記録による作成も認められることになります。

・派遣先企業における派遣労働者からの苦情の処理に関する義務付け
 派遣労働者から、派遣先企業に課されている労働関係法令上の義務(特に、労働基準法や労働安全衛生法上の義務、育児休業、介護休業など)に関する苦情があった場合、派遣先企業は、誠実かつ主体的に対応することが義務付けられます。

・日雇い派遣の解除の場合における派遣元企業の責任の明確化
 労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって日雇い派遣の契約が解除された場合、派遣元企業は、新たな就業機会の確保ができない場合であっても、休業などにより雇用の維持を図り、かつ休業手当の支払いなどの労働基準法などに基づく責任を果たすべきことが明確化されます。

改正による影響、注意点

 派遣元企業は、派遣労働者の採用時(労働契約の締結日前)に、教育訓練およびキャリアコンサルティングについて、派遣労働者に説明することが求められます。派遣元企業としては、派遣労働者との紛争や労働局からの指導を見据えて、説明資料を書面で用意するべきでしょう。

●育児・介護休業法関係(2021年1月1日施行)

改正の概要

 1時間単位で、子どもの看護休暇・介護休暇を取得できるようになるなど、柔軟に子の看護休暇・介護休暇を取得できるようになります。

 改正前は、子どもの負傷や病気の看護・介護のための育児休業については、半日単位での取得のみが可能でした。また、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できないなどの制限がありました。今回の改正で、1時間単位での取得が可能になり、また1日の所定労働時間にかかわりなく、すべての労働者が取得できることになります。

改正による影響、注意点

 法令では、「中抜け」ありの休暇取得を認めることまでは求められていません。もっとも、厚労省のリーフレットなどでは、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認める配慮が企業に要請されています。
※中抜け:就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ること

●著作権法関係(2021年1月1日施行)…

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執筆=福原 竜一

虎ノ門カレッジ法律事務所 弁護士
2009年弁護士登録。企業法務及び相続法務を中心業務とする。主な著作として、「実務にすぐ役立つ改正債権法・相続法コンパクトガイド」(編著:2019年10月:ぎょうせい)がある。2019年8月よりWEBサイト「弁護士による食品・飲食業界のための法律相談」を開設し、食に関わる企業の支援に力を入れている。
https://food-houmu.jp/

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