弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第100回)創業後、経営者が注意すべき法務関連のポイント

法・制度対応

公開日:2023.01.23

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 創業した経営者は、日々、会社経営にまい進し、法務のことを気にする余裕などないかもしれません。それどころか忙しさを言い訳に、法務や法律問題を敬遠している経営者もいるかもしれません。とはいえ、創業から間がなくても、法務や法律問題を考えずに会社経営をすると、思わぬ法的リスクを負いかねません。また、事業を発展させていくためには、法務や法律問題は避けて通れません。

 そこで今回は、創業した経営者が、創業後3年目程度の少し落ち着いてきた頃に必ずチェックしておきたい法務や法律問題のポイントについて、解説します。

制定、改正され続ける各種法令への対応

 社会が高度化・複雑化した現在においては、日々新たな法令が制定され、また、既存の法令の改正が行われています。これらについて企業も無関係ではいられません。対応必須の法律をいくつか挙げておきましょう。

 まず、2020年4月に改正民法(債権法)が施行されました。保証に関する規定が改正され、契約の約款に関する規定が新設されるなど企業にとって対応が必要な内容が含まれています。

 次に、2018年6月に成立し、2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法では、同一労働同一賃金の実施、時間外労働時間の上限規制、年5日以上の年次有給休暇取得の義務化などが含まれています。

 さらに、パワハラ防止法、セクハラ防止法、公益通報者保護法などへの対応(方針の明確化とその周知・徹底、相談窓口の設置、相談者に対する不利益取り扱いの禁止など)も、新たに必要となっていますので注意が必要です。

 その他にも、個人情報保護法は、施行後3年ごとに見直すと決められており、直近では2022年4月から改正法が施行され、個人情報の取り扱いに関する事業者の責務などについて新たな規制が設けられました。

 こうした日々制定・改正される法令について、本来、創業からの期間にかかわらず、企業としての対応が求められます。創業直後はなかなか手が回らないのが実情だと思いますが、少なくとも、事業が安定してくる創業3年目程度の時期には少し立ち止まって総点検するとよいでしょう。

各企業に生じる固有の法律問題への対応…

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執筆=上野 真裕

中野通り法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)・中小企業診断士。平成15年弁護士登録。小宮法律事務所(平成15年~平成19年)を経て、現在に至る。令和2年中小企業診断士登録。主な著作として、「退職金の減額・廃止をめぐって」「年金の減額・廃止をめぐって」(「判例にみる労務トラブル解決の方法と文例(第2版)」)(中央経済社)などがある。

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