弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第115回)人手不足を補う外国人雇用の留意点

法・制度対応

公開日:2024.04.18

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 新型コロナウイルスの流行が下火になり、さまざまな経済活動が回復してきた結果、人手不足が顕著になっています。こうした背景もあり、日本で働く外国人労働者数は2023年10月末時点で204万8675人と初めて200万人を超えました。外国人雇用の届出が義務化された2007 年以降の集計で、過去最高の数値となっています(厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和5年10月末時点))。

 産業別の外国人労働者数は、「製造業」が55万2399人(27.0%)で最も多く、外国人を雇用する事業所数は、「卸売業・小売業」が5万9497所(18.7%)と最も多くなっています。事業所規模別に見ると、外国人を雇用するのは「30 人未満」規模の事業所が最も多く、19万7256所(事業所数全体の 61.9%)、73万8757人(外国人労働者数全体の 36.1%)となっています。

 このように、中小企業において外国人労働者を雇用するケースは現在もかなり多くなっていますが、今後人手不足が続くと、さらに増えると予想されます。

 外国人労働者の雇用は、日本人を雇用する場合と異なる点や注意すべき点があります。そこで、企業が外国人労働者を雇用する場合の留意点について、厚生労働省作成のパンフレット「外国人雇用はルールを守って適正に」(以下:パンフレット)などを参照しつつ解説します。

外国人雇用時の3つの留意点

 外国人を雇用する場合、事業主が留意する必要があるのは、大きく分けて次の3点です(厚生労働省「外国人の雇用」参照)。

 ① 就労可能な外国人を雇用する

 外国人は、出入国管理および難民認定法(入管法)で定められている在留資格の範囲内で、わが国での就労活動が認められています。そのため事業主は、外国人を雇い入れる際に在留カードまたは旅券(パスポート)などによって就労が認められるか確認する必要があります。

 ② 適切な雇用管理をする

 事業主は、雇用する外国人が安心して働き、その能力を十分に発揮できるよう、労働施策総合推進法に基づき定められた外国人雇用管理指針(以下、指針といいます)に従って適切な人事管理と就労環境を整備する努力義務を負います。

 ③ 外国人雇用状況の届出をする

 事業主は労働施策総合推進法に基づき、外国人の雇い入れと離職の際には、氏名、在留資格などについて確認し、ハローワークへ届け出る義務を負います。

在留資格は27種類、就労の可否で3つに分類…

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執筆=上野 真裕

中野通り法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)・中小企業診断士。平成15年弁護士登録。小宮法律事務所(平成15年~平成19年)を経て、現在に至る。令和2年中小企業診断士登録。主な著作として、「退職金の減額・廃止をめぐって」「年金の減額・廃止をめぐって」(「判例にみる労務トラブル解決の方法と文例(第2版)」)(中央経済社)などがある。

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