ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2024.06.24
前編では、コストアップの中で中小企業が賃上げ原資を確保できるように政府が策定した「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(以下:転嫁円滑化施策パッケージ)に基づく、公正取引委員会(以下:公取委)による独占禁止法・下請法の執行強化を解説しました。
後編では、コストアップ分の価格転嫁円滑化の取り組みに関して公取委が行った特別調査の結果、労務費の転嫁が進んでいないと明らかになったため策定・公表された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(以下:労務費指針)について解説します。
労務費指針は、2023年11月29日に内閣官房および公取委が連名で公表したものです。同指針は、多くの場合は発注者の方が取引上の立場が強く、受注者が労務費の価格転嫁を言い出しにくい状況から、事業者に対して、まずこの状況を明確に認識するよう求めています。
その上で同指針は、以下の囲みの通り、労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者および受注者のそれぞれが採るべき行動/求められる行動を12の行動指針としてまとめています。
発注者として採るべき行動/求められる行動
①本社(経営トップ)が関与すること
②発注者側から定期的に労務費転嫁について協議の場を設けること
③受注者に説明・資料を求める場合は公表資料とすること
④サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を行うこと
⑤要請があれば協議のテーブルにつくこと
⑥必要に応じて労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること
受注者として採るべき行動/求められる行動
①国・地方公共団体の相談窓口などを活用すること
②価格交渉において使用する根拠資料として公表資料を用いること
③適切なタイミングで自ら発注者に価格転嫁を求めること
④発注者から価格を提示されるのを待たずに自らも希望する額を提示すること
発注者・受注者の双方が採るべき行動/求められる行動
①定期的にコミュニケーションをとること
②価格交渉の記録を作成し、発注者と受注者の双方で保管すること
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執筆=植松 勉
日比谷T&Y法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)、平成8年弁護士登録。東京弁護士会法制委員会商事法制部会部会長、東京弁護士会会社法部副部長、平成28~30年司法試験・司法試験予備試験考査委員(商法)、令和2年司法試験予備試験考査委員(商法)。主な著書は、『会社役員 法務・税務の原則と例外-令和3年3月施行 改正会社法対応-』(編著、新日本法規出版、令和3年)、『最新 事業承継対策の法務と税務』(共著、日本法令、令和2年)など多数。
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