今年から8月11日が新たな祝日となりました。名称は「山の日」。みなさんは、この祝日がどんな日かご存じですか。約4カ月後にせまる初の「山の日」を前に、その意味について考えてみましょう。
8月11日に決まった「山の日」。「海の日」があるのだから「山の日」もほしいと思う山好きも多かったでしょう。まさにその願いがかなう形となりましたが、この祝日の趣旨を知る人は意外に少ないのではないでしょうか。
内閣府ホームページには「山の日」は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日とあります。日本は国土の約7割を山地が占める、自然豊かな国です。これまでの回でも紹介しましたが、山は生活に欠かせない水を生み、植物や動物を育んでいます。私たちは古い昔から山の恵みによって生かされてきました。遠い祖先から敬い、信仰の対象として、日本人の心にも大きな影響を与えてきた山。その恩恵に感謝し、未来へと引き継いでいくにはどうしたらよいかを考えるのが「山の日」なのです。
したがって、「山の日」は「登山の日」でも「登山者の日」でもありません。この祝日には、国民全員に関わる深い意義が込められています。
どうして8月11日なのか?…
8月は登山のハイシーズンで、「山の日」のイメージにぴったりです。しかし、8月11日が登山関連で何か記念になる出来事があった日というわけではありません。
「山の日」の制定は、2013年に発足した全国「山の日」制定協議会(日本山岳会をはじめとする山の団体や自然団体、超党派の議員連盟からなる。2014年に全国「山の日」協議会に改名)を中心に進められてきました。当初は6月第1日曜が有力でした。しかし、標高の高い山はまだ雪が多くて登山をしづらいシーズンであること、休日が増えることによる経済界への影響を考えて、お盆につながる8月11日になったのです。
もともと夏休みである学生にとっては、この日が祝日となってもあまりうれしくないかもしれませんが、会社員の方はお盆休みが長くなってよかったという人も多いでしょう。今年、8月11日は木曜日。12日とつなげて、5連休になる会社もあるのではないでしょうか?
山の日をどう過ごす?
さて、祝日となったこの日、どのように過ごすのがよいでしょうか。前述したように、「山の日」の趣旨には「山に親しむ機会を得て」とあります。大事なのは、ただ感謝するだけでなく、「山に親しむ」ということです。
せっかくの連休ですから普段は行きづらい高い山や遠い地域の山に挑戦したり、日数をかけて縦走したりするのもよいでしょう。8月の中旬は天気が安定し、台風さえ来なければ、スッキリした夏の青空が広がりやすい時期です。ただ、今年は「山の日」初年ということもあり、いつもの年より混雑することが予想されます。静かに山を楽しむならアルプスや「日本百名山」などの人気山岳から離れた山へ赴いてもいいかもしれません。
「山の日」イベントに期待!
今年は「山の日」にちなんだイベントが、各地で開催されます。例えば、7月10日に「山の日」施行記念のイベントが東京で行われ、8月10日、11日には「山の日」を祝う第1回全国大会が長野県松本市・上高地で開催されることが決まっています。
5月〜10月まで公益社団法人日本山岳ガイド協会主催の上高地「自然講座」(10回シリーズ・各回24000円・講座&テキスト、食費・宿泊費を含む)もお勧めのイベントです。絵や写真、歴史、生態などさまざまな分野から「山に親しむ」講座は、個別参加も可能で自分の興味のある分野から山に親しむことができそうです。
8月11日の「山の日」。山に登るだけではなく、全国各地で行われるイベントに参加してみるとか、日ごろ気になっている山について調べたり本を読んだり…。古里に帰って、子どものころに遊んだ山を思い出してみる、といったことでもいいのではないでしょうか。今年は今まで以上に、山を楽しむいいチャンスかもしれません。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2016年3月)のものです