ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2018.09.28
テレビの人気番組の影響か、近年、ジオがひそかなブームになっています。という私も地質に興味を持っていて、ここのところ、岩や石に目を向けた登山にハマッています。ジオは「Geo」と書き、「地球」や「土地」という意味の言葉。このGeoと連結する形で、後に続く語によって意味が変化します。例えば、「Geodetic(測地)」「Geoglyph(地上絵)」「Geology(地質学)」など。
また、地質の保護活動を基軸に地域の活性化に役立てようとする活動も国内外で盛んに行われるようになってきました。「Geopark(ジオパーク)」は、その最たる例です。ジオパークはその性質から登山ができる山を含む場所が多くあり、ユネスコのジオパーク認定をめざす地域も少なくありません。そこで今回は、ジオを意識することで出合った山を紹介しましょう。
私がジオに興味を持つきっかけとなったのは、2017年に歩いた南アルプスの縦走です(関連記事「第27回南アルプス大縦走(前編)」「第28回南アルプス大縦走(後編)」)。そのときに日本第6位の標高を持つ悪沢岳(3141m)の山頂近くで赤い色をした不思議な石を見たことが始まりでした。
専門家に聞いたところ、それは大昔に太平洋の奥深く、海底に積もったプランクトンなどの死骸が、長い年月をかけて海底深くで岩となったもの。さらに地殻の隆起によって標高約3000mという高さにまで押し上げられてきたのだといいます。海底から押し上げられた岩で大山脈ができたという事実から、すさまじい地球のエネルギーを知って感動しました。その経験以来、今まであまり気にすることがなかった山の岩や石にも目を向けるようになったのです。
先日、飛騨山脈のジオパーク認定をめざしている岐阜県の奥飛騨温泉郷へ行ってきました。飛騨山脈は大きなプレートがぶつかり合う地域にあり、地殻の隆起やマグマの活動が盛んです。
奥飛騨温泉郷の奥には笠ヶ岳(2898m)があるのですが、新穂高ロープウェイに乗って、西穂高口駅にある山頂展望台から望むと、その山が正面に望めます。昔の女性がかぶった市女笠(いちめがさ)に形が似た、美しい山です。山の斜面をよく見ると、水平に縞模様が入っているのが分かります。ジオ的な視点で見ると、それは巨大なカルデラ火山であった証拠なのだそうです。
約6500万年前(恐竜が滅びたとされる時代)、この辺りは激しい火山活動によって火山灰や溶岩が繰り返して積もり、それが後に隆起して山となり、さらに浸食されて、今、この縞模様を目にすることができます。こうした来歴を知ると、山の景色も少し違ったものに見えてきますね。
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執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
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