人生を輝かせる山登りのススメ(第43回)信仰の山で山岳修行体験

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公開日:2018.12.14

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 2018年11月山梨県南部にある七面山(しちめんざん)で修行登山をしてきました。修行とはいっても滝行などの苦行はなく、山に登り、山上の宿坊・敬慎院(けいしんいん)に一泊するという、ハードルの低いものです。山岳修行にはどんな意味があるのか、今回は七面山登山の体験を通してお伝えします。

身延山地と天子山地の奥に富士山を望む(七面山・富士山遥拝所)

古くからの信仰の山

 今回の修行登山に選んだ七面山は、富士山と南アルプスの間にそびえる標高1989mの山です。東には日蓮宗総本山の身延山久遠寺(みのぶさん・くおんじ)があり、七面山は日蓮宗の経典・法華経の守護神である七面大菩薩を祀(まつ)る信仰の山として、身延山と共に崇められてきました。古くは、日本古来の山岳信仰と仏教が融合した修験道の行場(ぎょうば)でしたが、鎌倉時代に日蓮宗の開祖・日蓮が当地に来たことにより法華経の教えが広まり、後に一般の人々にも登拝(とうはい)されるようになったそうです。

標高約1700mにある敬慎院。車道はなく、ここへは歩いてしか行くことができない

 七面山は信者でない人も登詣(とうけい)することができます。私は東山麓の登山口から表参道を登りました。信者は白装束で登拝しますが、私たちはいつもの登山ウエアでまったく問題ありません。

白糸の滝には女人禁制を解いたお万の方の像が立つ

 ちなみに表参道の登山口近くには美しく流れる白糸の滝があり、そこにお万の方の像が立っています。お万の方は徳川家康の側室で、熱心な法華経信徒でした。当時、七面山は女人禁制で、女性の入山は許されていませんでしたが、お万の方は白糸の滝で何日も身を清めた上で登拝を成し遂げたそうです。信仰の山の多くが明治時代の廃仏毀釈まで女人禁制を貫いてきたことを思うと、かなり早くから禁制が解かれていた山だといえるでしょう。

 さて、表参道登山口の標高は約500m。ここから標高約1700mにある七面山本殿の敬慎院(けいしんいん)をめざします。標高差1200m、山慣れた人にとってもなかなかハードなコースです。

 参道はよく整備されていて歩きやすいのですが、一定の傾斜が延々と続きます。道のりには一丁(約109m)ごとに丁目石が置かれ、五十丁の敬慎院までそれを数えることを励みに登っていきます。丁目石の中には江戸時代中期・元文三(1739)年の日付が刻まれたものもあり、歴史の長さを感じられるでしょう。

七面山が霊山となったわけ…

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執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

【T】

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