私たちの身体の60~70%は水分です。水分は、酸素や栄養素の運搬、老廃物の排出、体温調節など、健康維持に欠かせない重要な働きを担っています。毎日の水分補給に気をつかって、疲労や老廃物をため込まない“代謝のよい健康体”を実現しましょう。
睡眠中には、発汗などでコップ1杯(200ml)程度の水分が失われるといわれています。朝は、不足しがちな水分を補って体液循環をスムーズにするチャンス。体液のめぐりが整うと、代謝が高まり、不調や生活習慣病を予防しやすくなります。
朝の水分補給には「白湯(さゆ)」か「常温の水」がおすすめ。過度な負担をかけずに内臓の働きを活性化させ、消化機能を高める効果が期待できます。血液循環がスムーズになり、むくみや便秘といった不調や、動脈硬化、心筋梗塞などの疾病予防にもつながります。
飲み物には、水分補給だけでなく、“栄養補給”の側面もあります。「水」で水分補給を行いつつ、次のようなドリンクで栄養素を摂取し、不調改善や健康維持に役立てましょう。
(1)集中力を高める「コーヒー」
ピリッと目が覚める、コーヒー独特の苦味成分「カフェイン」は、胃を荒らす恐れがあると敬遠されることもありますが、適量ならば次のような健康効果が期待できます。
・覚醒作用(目が覚める)
・利尿作用
・血管拡張&血液をサラサラにする効果
・消化の促進
・脂肪燃焼の促進(代謝アップ)
コーヒーからは、抗酸化成分「クロロゲン酸」を摂取することも可能です。血管や細胞の老化を防ぎ、糖尿病や高血圧、動脈硬化、がんなどの生活習慣病を予防する効果が期待できるため、ビジネスパーソンの集中力アップやアンチエイジングにぴったりです。
砂糖やミルクの摂取はカロリーオーバーになりやすいため、飲み方はブラックをおすすめします。“運動する20~30分前”に飲むと脂肪燃焼効果をより高めることができ、メタボ対策のトレーニングに最適です。ただしコーヒーの飲み過ぎは内臓に大きな負担をかけてしまいます。1日3~5杯程度にしておきましょう。
コーヒーの効果については、『がんになりたくなければ、ボケたくなければ、毎日コーヒーを飲みなさい。』(岡希太郎)が参考になります。
(2)若さと長寿を手に入れる「緑茶」
緑茶の生産が盛んで日常的に飲む機会が多い地域に住む人々は、寿命が長いといわれます。その秘密は緑茶に含まれるポリフェノールの一種「カテキン」にあるようです。カテキンによる健康効果は次のように多岐にわたります。
・殺菌効果
・免疫力を高める効果
・脂肪の吸収を防ぐ効果
・代謝アップ効果
・高血圧を防ぐ効果
・口臭予防効果
・リラックス効果
お茶を飲むと、カテキンのほか、認知症を予防する効果が期待されている葉酸、代謝を促進するカフェイン、リラックス作用を上げるテアニン、免疫力を高めるビタミンCなどが摂取できます。抹茶や深蒸し茶を飲んだり、茶葉をそのまま料理に活用したりすることで、茶葉に含まれる多くの栄養素を効率よく摂取可能です。食事時やおやつの時間との相性が抜群のドリンクといえるでしょう。
(3)暴飲暴食のリセット&疲労回復には「レモン水」
飲み過ぎた翌日やたまった疲労をリセットしたいとき、ダイエット効果を高めたいときなどにおすすめなのがレモン水です。学生時代、運動部で活動していた方にとっては、青春を思い出すドリンクかもしれません。爽やかな香りは、食べ過ぎ防止にも効果があるといわれています。
レモン水は、代謝を高めて疲労回復を促進する「クエン酸」を摂取できます。レモンの黄色い皮に多く含まれる色素成分「エリオシトリン」には抗酸化作用が認められ、脂肪吸収の抑制や体内の老化防止に役立つといわれています。水200mlに対し、レモン4分の1程度がレモン水を作る際の目安です。
毎日何気なく摂取している水分ですが、身体組成に必要で、健康状態を左右する重要な要素。アルコールやカフェインを含む飲み物には利尿作用があり、水分を補ったようで、逆に水分が排出されてしまうことにもなりかねません。体調に合わせて、飲み物の種類を考えて飲み分けることが大切です。
「白湯」や「常温の水」を朝に飲む習慣をつけて、栄養素を含む各種ドリンクを上手に摂取することで、不調改善や健康維持に役立ててください。