口角をキュッと引き上げた爽やかな笑顔は、スマートで若々しい印象を相手に与えます。また、お互いに笑い合える関係は、自分自身もストレスを感じることが少なくなり、仕事でも家庭でもポジティブになれると著者の私は考えています。この連載が始まってから結婚して家族が増えましたが、笑顔が絶えない暮らしは、仕事にもよい影響を与えていると実感しています。職場のメンタルヘルスとしても、笑うこと、笑顔でいられることは重要なのではないでしょうか。自分の心身を整え、お互いの仕事のパフォーマンスを最大限に高めるために、今回は笑顔の効能や笑顔でいられるコツを考えてみたいと思います。
笑顔は健康と若々しさに欠かせない要素
楽しいと感じたときに思いきり笑顔になり、面白いと感じたときに声を出して笑うことは、心身にとって次のような効能があるといわれています。
●リフレッシュ・ストレス軽減
笑顔になることや笑うことは一種の興奮状態ともいえますが、それが急激に低下すると心身が緩み、自律神経を安定させます。また、緊張状態がほぐれると安心感が生まれ、ストレスの軽減にもつながります。
●血行促進・代謝アップ
笑い過ぎて「おなかが痛い」などと表現される場合もありますが、笑顔になると表情筋、腹筋、横隔膜などが活発に動き、全身の血行を刺激します。笑ったときの呼吸は腹式呼吸になりやすく、酸素を大きく取り込むのでさらに体液循環がスムーズになり、新陳代謝が活発になります。笑うだけでもカロリー消費が進みます。
●筋トレ・脳トレ
表情筋への刺激は顔周りの筋肉の衰えを防ぎ、シワやたるみ予防に役立ちます。また、血液の巡りがよくなると脳の器官が活性化し、脳内の“幸せホルモン”といわれるドーパミン、オキシトシン、β-エンドルフィンなどの分泌が増え、やる気や記憶力、幸福感が向上します。
笑顔でいるためにポジティブ思考をルーティン化しよう
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よい部分や楽しい部分に目を向けるとポジティブな感情が湧きやすくなり、前向きな気持ちで暮らせます。笑顔になる機会や笑う回数が自然に増え、日々のエイジングケアとしてもより効果的に働くでしょう。
一方でネガティブな感情も、ポジティブな面だけを捉えて大切なことを見落とさないために必要な心の動きです。ただし、ネガティブな感情を長引かせるのではなく、次のような行動を起点に感情を早く切り替えるようにしましょう。
●「3行ポジティブ日記」で1日をポジティブに締めくくる
1日の終わりに楽しかった・うれしかったことを3つ箇条書きにします。あれこれと長く書く必要はありません。「久しぶりに会った友人が元気そうだった」「安くておいしい食事処を見つけた」など、出来事をメモする程度の手軽さで習慣化しましょう。ハッピーな出来事を思い出そうとすることは前向き思考のトレーニングになり、小さな幸せを見つけやすくなります。スムーズに書き出せるようになったら、自分のよかった思考や言動に注目し、他人を褒めるのと同じように自分を褒める日記にして、モチベーションアップや成長につなげるのもおすすめです。就寝前は不安や迷いに向き合わないように、ポジティブな感情で終えると心身がリラックスし、睡眠の質を高めるのにも役立ちます。
●SNSを前向き思考のアウトプットの場に
SNSを利用する頻度が高ければ高いほど、流れてくる投稿や自身が書き込む内容に感情を左右されがちです。誰かが何気なく書き込んだグチや、刺激的な言葉が使われた投稿を見るだけでも気分が落ち込みます。同様に、自分が送ったネガティブな投稿が、周りをイヤな気持ちにさせているかもしれません。そこで、SNSは楽しいと感じたとき、面白いと感じたときに発信する場として活用するよう心がけてみましょう。大切なのは自ら前向きな投稿を発信し、よいと思える他人の投稿に「いいね」や「グッド」を付けて、その意思を表すことです。こうした行動を繰り返すと自分の気持ちを整理でき、ポジティブ思考になっていくはずです。
●「大丈夫、なぜなら……」で逆境を楽しむ
とはいえ、ポジティブに考えれば何でもうまくいくとは限りません。他人との関係でうまくいかないことや失敗から目を背けていては、問題を先延ばしにするだけです。解決したい問題に向き合うときは深呼吸して「大丈夫、なぜなら……」と声に出してみましょう。「大丈夫」で心を落ち着かせ、「なぜなら」の続きを考えて打開策を導きやすくするのが狙いです。逆境から目を背けず成長のチャンスと捉え、乗り越え方を考えてみる。見方を変えると意外な解決策が見つかるかもしれません。打開策や解決策が見つかったら、そのときには自然と笑顔がこぼれているでしょう。
最後に……これからも笑顔で、お元気で
笑顔や笑いはコミュニケーションを円滑にするための要素でもありますから、チームメンバーやクライアントとの信頼関係づくりに欠かせません。ポジティブ思考の習慣化と笑顔や笑う機会の増加は、老け込まないためのケアになると同時にビジネスパーソンの実力の積み上げにもなります。ポジティブ思考を持って笑顔になるコツは、目の前の状況を面白がることです。頑張りすぎて笑顔がこわばらないよう、肩の力を抜いて今を楽しみ、前向きな時間を積み重ねていきましょう。
この連載は、アンチエイジングを「予防医学」と「美容」の視点から“日々を健康に過ごし、かつ加齢による衰えを周囲に意識させず、魅力を維持するためのセルフマネジメント”とし、さまざまな心身のコンディショニング法をご紹介してきました。今回で最終回となりますが、読者の皆さまのいつまでも若々しく健康な人生を願っています。毎日が笑顔であふれ、人としての活力や魅力がさらに増していきますように!