いわゆる「インバウンド」の影響を受け、東京のホテル稼働率が高い数値で推移しています。宿泊料金の高騰もささやかれる一方で、それ以上にビジネスパーソンを悩ませているのが「どこも満室」という事態。今回は、急な出張などで「ホテル難民」に陥りそうになったときに使える「ワザ」をお伝えします。
都内客室稼働率は、現在8割超に
観光庁が毎月発表している「宿泊旅行統計調査」によると、2015年11月の東京のビジネスホテル客室稼働率は87.2%でした。これでは「満室」の日が多くなるのも当然で、急に出張が決まった際、前日や当日に空室を探すのは困難なはずです。うまく空室があるホテルを見つけたとしても、「予算が合わない」「アクセスが良くない」といったケースも少なくありません。
「東京のホテルはどこも満室!」。そんなとき、目を向けていただきたいのが、東京に隣接する横浜や川崎のビジネスホテルです。
インターネットの宿泊予約で、選択する都道府県を「神奈川県」に変更して、横浜や川崎のホテルを検索してみましょう、東京が「満室」だった宿泊希望日でも、いくつかのホテルで空室が見つかるケースが多いと思います。
横浜の狙い目は、新横浜駅と元町・中華街駅周辺です。新横浜駅周辺なら新幹線で中部や関西から到着して宿泊。翌朝、チェックアウト後、新幹線を利用すると、品川や東京まで10分台で到達できます。
都内~1時間以内、狙いは「横浜」「川崎」…
元町・中華街駅の利点は、東急東横線と相互乗り入れを行う「みなとみらい線」の始発駅であること。そのため、朝のラッシュ時でも座れる可能性が高まります。加えて、朝の通勤特急を利用すれば、渋谷までの所要時間は45分ほど。渋谷から先は東京メトロ副都心線に乗り入れ、新宿・池袋方面にも直通します。
渋谷からはJRのほか、山手線の内側へ向かう地下鉄にも乗り換え可能。つまり都内のオフィス街には、1時間ほどの早起きで到着できます。「みなとみらい線」を活用するつもりなら、元町・中華街駅以外に「日本大通り」「馬車道」の両駅周辺のホテルを探してもいいでしょう。
川崎のホテルに宿泊した場合、川崎駅からJR東海道線を利用すると東京駅まで約20分で到着です。京急川崎駅から品川駅もおおむね20分以内です。ラッシュ時の混雑が難点ですが、東京までの所要時間の短さでは横浜よりも川崎に軍配が上がります。空室を探すときは、東京都内の目的地への交通アクセスを勘案しつつ、横浜と川崎を使い分けてみるとよいでしょう。
また埼玉県や千葉県の京浜東北線や埼京線、総武線沿いの各駅にあるホテルも、訪問予定の場所によっては「横浜」「川崎」よりも移動が便利なことがあります。ただし東海道新幹線との間でアクセスが不便になることがありますから、この点で注意が必要です。
ツアーの「直前予約」がオススメ
こうした別の地域のホテルを探す以外の手段としては、旅行各社が発売している新幹線とホテル宿泊がセットになったツアー商品をチェックすることが考えられます。こうしたツアーは、かなり前からの予約が必須だと思いがちですが、中には急な出張にも間に合う商品が用意されています。例えばJR東海ツアーズの「新幹線ツアー・ダイレクト」は、予約の締め切りが出発前日の15時と、急な出張時にも使い勝手がよい商品です。
予約方法は、新幹線の利用駅と出発日(宿泊日)、宿泊人数を選び、検索。次ページで、利用する新幹線の列車とホテルを選択できます。予約後はクーポン類を受け取ってから新幹線に乗車することになりますが、窓口が「新大阪駅」「東京駅」の構内に開設されているので、出発直前の受け取りが可能です。
また「ツアー・ダイレクト」に限ったことではありませんが、ツアー商品はいずれも、新幹線とホテルを別々に予約する場合に比べて「お得」な価格になっている場合がほとんどです。
今回は、ホテル探しで困ったときに試したい方法を紹介しました。今後も、東京のホテルは予約が取りにくい状況が続きそうですから、できれば、こうした方法を使わなくても済むよう、出張の予定はなるべく早めに立てるようにしましょう。