顧客や取引先、社内の拠点間における情報のやり取りには、従来、電話やFAX、郵便などが用いられていた。しかし、IT化の進展によって情報通信ネットワーク経由に大きくシフトした。企業活動は、円滑な情報通信を可能にするネットワークが稼働して成り立つ。
データ通信を支えるネットワークには、オフィスや店舗内で利用するLAN(ローカルエリアネットワーク)と、外部の企業や拠点、インターネット、クラウドなどを結ぶWAN(ワイドエリアネットワーク)の大きく2種類がある。
LANもWANも重要な情報通信インフラだ。LANは基本的に自社で管理運用を行い、WANは契約する通信事業者が管理運用を行う。つまりLANのトラブルは、自社で主体的に解決し、WANのトラブルは解決を通信事業者が行うことが多い。通信事業者でしか対応ができない事象の場合は、利用者は迅速な復旧を依頼するしかない。
光回線の保守、平日9時~17時が基本という事実
WANは、企業の活動をさまざまな側面から支えている。受発注や物流などサプライチェーンを維持する情報や、インターネットショップの運営に関わるデータのやり取りはもちろん、社内の情報システムの土台でもある。こうした多様なシステムのインフラとして利用されるWANは、24時間対応、それも365日の対応が求められるケースが多くなっている。
インターネットショップの運営では、ビジネスアワーだけの対応に限ることはできない。そもそも海外の顧客や拠点も含めたコミュニケーションを考えると、24時間の稼働は必然となる。夜間に行うバッチ処理、在宅ワークなども含めた働き方の多様化による社内システムの利用時間拡大など、時間帯にかかわらずネットワークの正常な稼働を求められる状況は増えている。
しかし、そうしたWANサービスの通常の契約では、故障修理の対応時間が制限されているケースもある。電話受け付けは24時間365日でも、休日の受け付けなどでは、すぐに修理対応してもらえるとは限らない。
WANの二重化、モバイル回線によるバックアップでも課題は残る…
WANにトラブルが起きると想定して、通信手段を確保する手段に「二重化」がある。WANに利用する光回線を、1回線ではなく2回線以上にした冗長構成を取る手法だ。
ただし、WANでは同じ通信事業者の回線を2回線用意しても、同じ原因で通信が途切れてしまうリスクがある。そこで、異なる通信事業者の回線を引き込み、片方を通常利用のメイン回線、片方をバックアップ回線として用意する方法も考えられる。
しかし、二重化の維持には、コスト増という難題が生じる。通常は利用しない回線を別の通信事業者と契約するため、回線の費用や回線に接続する機器(ルーターなど)の購入、運用保守費用などが増えるからだ。多店舗展開する業態では、店舗ごとにバックアップ回線を用意しなくてはならず、コストや手間から見て、中小規模の企業にはきつい。
WANを二重化する手法として、最近注目されるのが、モバイル回線を使った二重化である。バックアップの回線はモバイルデータ通信の回線に任せる発想だ。
実際にトラブルが起きた場合には、事業を継続させるためにモバイルデータ通信を使う。スマートフォンなどで実際に利用していて実感するように、最近のモバイルデータ通信は動画でもストレスがないくらい高速化が進んでいる。光回線とは異なる経路でインターネットにアクセスでき、二重化の効果が得られる。
とはいうものの、モバイルデータ通信の回線は、メイン回線の光回線と比べると、場所によっては電波が安定しないことがあったり、プランによっては容量に限界があったりすることもある。これをメイン回線と同等に扱うとなると難しい部分もある。金曜日にメイン回線にトラブルが生じて、土日祝日と続く3連休のデータ通信を守り抜く回線としては心許ない場合もあるだろう。
一気通貫で24時間365日の光回線トータルサポートが有効な現実解
ではどうしたらよいだろうか。低コストでより安心・安全なWANのネットワーク接続を維持する1つの現実解は、24時間対応してくれる出張修理サービスの利用である。例えばNTT西日本は、フレッツ光のトラブルを24時間365日保守対応する「24時間出張修理オプション」を提供している。通常保守でサポートしている平日昼間だけでなく、いつでも出張修理サービスが受けられるので、万が一のWANのトラブルでも、つながらない時間を大幅に減らせる可能性がある。
NTT西日本の24時間出張修理オプションは、通常保守では録音受け付けとなってしまう夜間や休日でも、契約者専用の電話番号に連絡すれば、専用のオペレーターに対応してもらえる。故障箇所の切り分けなどの対応をオペレーターが行い、必要に応じて保守担当者が顧客のオフィスや店舗に駆け付けて修理してくれるのだ。
17時以降に発生した故障の場合、通常の保守では翌朝以降の対応となるが、本サービスでは迅速に修理が行われるため、安心感が高い。もちろん、一瞬たりともネットワークが途切れてはいけないようなシステムには、回線の二重化などが必要になるが、そこまでではない場合は大きな力になる。
NTT西日本の24時間出張修理オプションは、フレッツ光などの1回線ごとに月額3000円で利用できる。ネットワークの安心・安全を24時間36日確保するコストとして中小規模の企業にとっても大きな負担を感じる額ではないだろう。
また、NTT西日本は、LAN側のルーターや情報機器についても、24時間365日の運用保守サービスを提供する。企業活動におけるネットワークの重みが増す今だからこそ、ネットワークをトータルにサポートしてくれる通信事業者のサービス活用を検討したい。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです