第三次安倍内閣が誕生しました。内閣改造に当たり、誰をどのポストに配置するか?といった組閣人事は、国のリーダーである安倍総理が最も頭を悩ませた課題だったと思います。
ゴルファーも、自分のゴルフセットをどんな組み合わせにするか悩みます。性格の異なるクラブを吟味し、目標のコース攻略に適したものを取捨選択する行為は、組織の組み立てにとても似ているのではないでしょうか。クラブ(人材)の持ち味を発揮するもしないも、クラブ構成(人事)1つです。せっかくのクラブが宝の持ち腐れとならぬよう、気を付けたいものです。
今回は、クラブ選びのポイント第2弾、フェアウェイウッド(以下FW)とユーティリティー(以下UT)についてお話ししましょう。FWとUTは、ドライバーとアイアンの間に位置するクラブで、プレー状況に応じて使いこなせるようになれば、必ずコース攻略の力になります。クラブの役割と特性をしっかり覚えて、クラブ選びに役立ててください。
FWは、主にセカンドショット以降グリーンまでの距離が長いときなど、できるだけ飛ばしたいときに使います。また、ティーショットでドライバーでは飛び過ぎてしまうときや、コース幅が狭く、ドライバーでは曲がるリスクが大きいときなどにFWを使うこともあります。
FWにはロフト角の異なる番手がいくつか用意されており、ロフト角が15度前後のものが3番で「スプーン」という呼び名が付いています。以降、4番が「バフィー」、5番が「クリーク」です。クリークはロフト角が18度前後です。あまり使われませんが、2番ウッドも存在し「ブラッシー」と呼ばれています。モデルによっては、ロフト角が5番ウッドよりもさらにある(20度以上)、7番や9番などがラインアップされているものもあり、通称「ショートウッド」と呼ばれています。
続いてUTですが、これはFWとアイアンの中間に位置し、その間を埋めるためのクラブです。距離を稼ぎたいFWと、正確にグリーンを狙いたいアイアンの中間に位置するため、さまざまなシーンで「ユーティリティー(UTility):万能」性が発揮できるクラブです。局面に応じて、攻撃にも守りにも使えるクラブというわけです。
UTもFWと同じように、ロフト角ごとに番手が用意され、UT#3(20度)、UT#5(23度)のように番手とロフト角の両方が表記されているケースが多いです。この場合、#3や#5といった番手の数字はメーカーごとに統一されているわけではありません。UTを選ぶ際には、番手の数字ではなくロフト角を重視して選ぶと覚えておけばよいでしょう。
FWの種類には大別して「シャローフェース」と「ディープフェース」とがあります。これはクラブヘッドの厚みの差で、厚みが少なく薄いヘッドのものをシャローフェース、厚みがあるものをディープフェースといいます。
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写真手前がシャローフェース、奥がディープフェース。シャローフェースは前後に長いものが多い[/caption]
シャローフェースの方が低重心になるため、ボールは上がりやすくなります。初心者をはじめ、弾道が低くなかなかボールが上げられない人は、シャローフェースのものを選ぶとよいでしょう。一方、ディープフェースは、クラブの上側で打つと高い弾道のボールが打て、下側で打つと低弾道のボールが打てるなど、弾道の高さをコントロールしたい上級者に向いています。FWをティーショットで使うことが多い場合も、ティーアップしたボールが打ちやすいディープフェースの方がよいでしょう。
UTもヘッドの形状から2種類に大別することができます。よりアイアンに近い形状の「アイアン型」と、ウッドに近い「ウッド型」です。
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写真左がアイアン型、右がウッド型のUT(写真のモデル:アイアン/PRGA「egg」、ウッド/ダンロップ「ゼクシオ」)[/caption]
アイアン型の方が、ボールを意図的に曲げるといった操作性に優れています。一方のウッド型は、ボールが上げやすく、曲がりにくいので安定性に優れています。それ故に上級者はアイアン型を、初心者はウッド型を選ぶとよいでしょう。
最も大事なのはクラブ構成
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ウッド中心の構成(写真のモデル:PRGA「RED」)[/caption]
冒頭でも述べましたが、各クラブの特性を知った上で重要なのが「クラブ構成」です。ゴルフの規定ではラウンドの際、キャディーバッグで持ち運べるクラブ本数は14本。例えば、アイアンが5番からサンドウェッジまで8本入れるとすると、ドライバーとパターを含めて10本になります。コース攻略を想像しながら、残り4本をFWとUTでどう構成するかを考えるわけです。
ウッドが得意の人はウッドを中心に、例えば3W(15度)・5W(18度)・7W(20度)・UT#5(23度)といった構成になるでしょう。UT中心で構成したい人は、4W(17度)・UT#3(20度)・UT#5(23度)・UT#6(25度)などです。アイアンが苦手の人はアイアンの5番と6番を抜いて7番からにし、その分、ショートウッドやUTを増やすのも良い考え方です。
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UT中心の構成(写真のモデル:ダンロップ「ゼクシオ」)[/caption]
番手ごとの飛距離は単にロフト角だけでは測れず、人それぞれのスイングのクセによっても変わってきます。ウッドが苦手の人は、ロフト角20度の7Wよりも、ロフト角23度のUTの方が飛距離が出てしまうというケースが多々あります。FWもUTもともに検討する際は、必ずゴルフショップで試打し、番手ごとの飛距離を確認することをお勧めします。ご自身の得手不得手を考慮し、打ちやすく、かつ距離がしっかり打ち分けられるクラブ構成をめざしましょう。
チームづくりはトップの意思が大切
ゴルフクラブに役割と特性があるように、人事も適材適所、特定の条件下で素晴らしい力を発揮する者、周囲の力を引き出すことに優れている者、よく聞き的確に細かい仕事をこなす者、それぞれを組み合わせることで、チームのパフォーマンスも大きく変化します。
より良い企業体をめざして組織を再編する場合や、新しいプロジェクトを立ち上げる場合など、どんな人材をどこに配置するか?その人事に頭を悩ませることでしょうが、まずは経営者や管理職の方が、どんなチームであるべきか具体的にイメージすることが大切です。ゴルフコース攻略と同じく、自身のスキルと目標を明確にし、自身の思いが最も発揮できる人事を考えましょう。
文中の写真について
撮影協力:ヴィクトリアゴルフ藤沢川名店