ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2021.03.22
私が主管するゴルフスクールに通ってくださるお客さまが、先日こんな話をされました。
「遠方に住む私の友人が、130をたたいたのがショックでゴルフをやめてしまいました。友人がゴルフをやめてしまうのはとても寂しいです……」と。しかも、そのご友人は地元で長くレッスンに通い、とても熱心に練習されていたとのこと。
この話を聞いて、ゴルフに携わる者として寂しいなと感じるとともに、もしその方をレッスンしていた指導者に、モチベーションを高める(もしくは、維持する)指導スキルがあれば、その方はゴルフをやめなくて済んだかもしれないのにと、とても残念な気持ちにもなりました。
ゴルフに限らず、モチベーション(=やる気)は、物事の成果や継続する力に大きく影響します。趣味やスポーツに対するモチベーションが高いほど仕事や家事を効率よくこなそうとしますし、それらが適度なリフレッシュにもなり、結果、すべてに良い循環をもたらすことが多いでしょう。難しいのは、それを維持し続けることです。冒頭の例のように、モチベーションはささいな事が原因で一瞬にして下がってしまうからです。モチベーションを維持・向上させるためにはどんな工夫をするといいのでしょうか。今回は、ゴルフにも仕事にも役立つモチベーションについて考えてみましょう。
かつて野村総合研究所が出版した「モチベーション企業の研究」(2008年)によると、次世代を担う若手社員(当時の20代・30代)は、上の世代と比較して仕事に関する5つの欲求が強いと示しました。その5つの欲求とは……。
[1]意味欲求
[2]成長・向上欲求
[3]創造性発揮欲求
[4]承認欲求
[5]自己実現欲求
この5つが仕事環境の中で満たされないとモチベーション不全が起こり、個人の生産性が落ちるというものです。対象とされた若手社員もキャリアを積んでいれば現在は管理職、果たして、会社の中で創造性豊かなチームづくりに貢献できているのか、自己実現がかなっているのかは興味がありますが、この5大欲求は今こそ、働く人全員のモチベーション・テーマだといってもよいと思います。これらをゴルフに当てはめながら1つずつ見ていきましょう。
[1]意味欲求を満たす
「この仕事に意味はあるのか」という疑問に「とにかくやれ」と押し付けるだけでは、その質問者のモチベーションは下がるだけでしょう。「何のために」というゴールラインがあれば取り組みやすくなり、それがモチベーションになります。
私が主管するゴルフスクールでは、ゴルフフィットネスという運動プログラムで体づくりをしますが、その必要性をお客さまに理解・納得していただくことは大切なことだと考えています。理解・納得いただいたお客さまは、こちらが指示しなくとも練習前やラウンド前には、率先してゴルフフィットネスを実践されるようになります。スイングがスムーズになったり、ケガのリスクが下がったり、体の調子が整ったりするなど幾つもの効果をお客さまご自身が実感されているからでしょう。
読者のみなさまは、そもそも“何のために”ゴルフや、その他の趣味・スポーツをしていますか。取引先との付き合い、もしくは上司に誘われて仕方なく……という人もいるとは思いますが、それだと長続きはしないでしょう。多くの人は“楽しみたい”からではないでしょうか。この「楽しい」という感情は自主性の原動力であり、モチベーションの維持・向上には欠かせません。何事も楽しくなければ、それを続けることが難しくなるからです。
[2]成長・向上欲求を満たす
新しいノウハウやスキルを身に付けたい、自分のキャリアを高めたいという欲求に対しては、誰もがチャレンジできる場と、その結果、成長したことをしっかり実感できる機会が必要です。ゴルフでいえば、できるだけコースに出る機会をつくるよう勧めています。
練習で上達してからコースに出るなどと言っていては、いつまでも経験が積めません。早くコースに出て、うまく行かないところを反省し、また実践で試しながら修正を重ねていく、この繰り返しがモチベーションになります。もちろん、思い通りの結果が出ないこともあるでしょう。それでも競技に参加する前と後とでは、必ず参加した後のほうが成長しているものです。
成長を実感する上で効果的なのが「記録をつける」ことです。つまり成長を「見える化」するわけです。ゴルフの場合、まずはどんな形であれ、プレーを記録することから始めてみましょう。ラウンド中に長い文章を書く時間は取れないでしょうから、分かりやすく記号化するとよいです。例えば……
<1>1W-F右残150:第1打をドライバーでフェアウエーの右サイドに運び、残り150ヤード
<2>7I-G右B:第2打を7番アイアンで打ち、グリーン右手前のバンカーに入れてしまった
……という具合に、書き方を工夫するとよいでしょう。
プレーを記録し、後から振り返ると、スコアには表れない成長が見える場合があります。スコアは変わらずだがティーショットの精度が向上しているな、とか、パーオンする確率が上がっているな、などと成長の過程が見えるとモチベーションを維持する助けになります。常に自身の成長を「見える化」し、成長を実感し続けることはモチベーションの維持にとても有効だと思います。
[3]創造性発揮欲求を満たす…
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執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」