ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2021.11.30
先日、ラウンドレッスンでスクールの受講者とコースを訪れた際、珍しい光景を目の当たりにしました。スタートの10分前、前の組はもうティーイングエリアでスタートの準備をしていなければならない時間、我々の前には空のカートがポツンと1台。マーシャルかコース管理のカートだろうと思いきや、そこに若い男性プレーヤー3人が遅れて登場。コーススタッフが1本のキャディーバッグを慌ててカートに積み込みました。当の本人たちは特に悪びれた様子もありません。
スタッフの1人がキャディーバッグを積み、もう1人がカートの操作方法をプレーヤーに説明し、別の1人がクラブ確認、さらに後続の我々におわびと状況説明をするスタッフと4人がかりでバタバタしていました。スタッフの説明によると、コースへの到着がスタート時間ギリギリだった上にパターをレンタルする手続きに手間取っていたとのこと。「先にスタートしましょうか?」とスタッフに提案しましたが、その日は混み合っていて先が詰まっているのと、彼らが心配なので、後ろから見て何かあれば注意してほしいとのこと。スタッフの1人は「最近こういう若いお客さんも多いんですよね……」と話していました。どうやら渋滞に巻き込まれてやむなしに遅れたのではなく、スタート時間にコースへ着けばよいと思っていたようなのです。
コロナ禍がきっかけで、広々とした屋外でプレーできるゴルフがちょっとしたブームになっています。ゴルフ場、ゴルフ練習場も共に盛況で、来場者数が軒並み増えていると聞きます。ゴルフ人気が高まり、ゴルファーが増えるのは業界にとって良いことです。が、一方でマナーを知らないゴルファーが増え、(悪意はなくとも)以前からプレーを楽しんでいたゴルファーに迷惑がかかるシーンが増えることも懸念されます。
この話、さらに驚いたことがありました。プレーヤーが3人いるにもかかわらず、カートに積まれたキャディーバッグは1本。他は見るからに古いクラブが数本とレンタルで借りたのであろうパターを、カートのパター入れに突っ込んでスタートしていったのです。数本の古いクラブにはキャディーバッグがないので、通常のようにカートには積めません。それで、仕方なしにパター入れに収めていたわけです。
私たちもラウンドしながら前の組の様子を見ていると、それぞれクラブをシェアしながらプレーしていました。最近はこういうスタイルもありかと思いましたが、まともに前に飛ぶことは少なく、右や左、そしてチョロと右往左往していました。ただ、先のスタッフが言う通りコースが混み合い全体のプレー進行が遅かったため、何とか前の組には離されずにラウンドできていたようでした。私たちも、この日のラウンドはハーフ(9ホール)で約3時間かかりました。
彼らがゴルフを楽しめていたかどうかは分かりませんが、最近、今までにはあまり見られないプレースタイルが出てきています。例えば、以前の記事で紹介したスループレー(9ホールを回った後、昼食休憩を挟まず一気に18ホールをラウンドする)や、お一人様プレーなどです。さらに今回紹介した若者たちのように、それぞれが自分のクラブを用意してコースに来るのではなく、クラブをレンタルしてそれをグループ内でシェアして使うノークラブゴルファーも現れています。
私は実は、これらを肯定的に捉えています。私はかねて、ゴルフがボウリングのようになってもいいのではないかと思ってきました。ボウリング人口は3800万人といわれています。しかし、これはマイボール・マイシューズを持つ本格的ボウラーの数ではなく、1年に1回でもボウリングをしたことのあるボウラーも含めた数字です。マイボール・マイシューズを持つ本格的ボウラーに限ると、(正確な数は分からないようですが)10万人程度だという推計もあります。これは、ボウリング人口の0.3%以下です。つまり、マイボール・マイシューズを持って本格的にボウリングを楽しむ人よりも、ボールやシューズはレンタルで済ませ、手軽にボウリングを楽しむ人たちが圧倒的に多いのです。
ゴルフもマイクラブ・マイシューズを持つ本格的ゴルファーに加え、年に数回ボウリングを楽しむボウラーのように、ノークラブ・ノーシューズでプレーの際には道具をレンタルして手軽にゴルフを楽しむゴルファーがいてもよいのではないでしょうか。こうしたゴルファーが増えればゴルフ業界はもっと活性化するでしょう。
もちろん、そのためにはクリアしなければならない課題があります。まだまだ先の話だとは思いますが、ゴルフコースに出掛けたら、クラブハウスで高いランチを食べなければならない、4人1組で回らなければならない……といった従来の常識も崩れつつあるのですから、ゴルファーたるもの「マイクラブ・マイシューズが当たり前」という常識も、そう遠くないうちに変わるかもしれません。
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執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」