ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2024.09.26
「ウェルビーイング」という言葉を耳にする機会が増えています。厚生労働省は、ウェルビーイングを「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と説明しています。このウェルビーイングは日本社会にかなり浸透してきていると感じます。
一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)では「ゴルフ界はウェルビーイングな社会の実現に貢献する!」を中長期ビジョンに掲げるなど、ゴルフ業界も例外ではありません。ウェルビーイングをひもとくと、ゴルフの本質とイコールであると分かります。今回はゴルフを通じてウェルビーイングを考えてみたいと思います。
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の教授や、武蔵野大学ウェルビーイング学部の教授兼学部長を務める前野隆司さんは、日本の「ウェルビーイング」「幸福学(well-being study)」の第一人者です。前野教授は幸福学の基礎として、幸せになるには「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」、そして「ありのままに」の4つの因子が大切であると提言しています。この「幸せの4つの因子」はゴルフで実感し、学べます。それぞれを見てみましょう。
ビジネスパーソンの中には、接待ゴルフに駆り出された、上司に誘われて仕方なく、と渋々ゴルフを始める人も少なくないと思います。そして最初は渋々だったものの、やってみたらゴルフの楽しさにハマり、100を切りたい!社内コンペで優勝したい!と、目標に向かって頑張っている人もまた少なくないと思います。
ビジネスシーンにおいても、乗り気でないプロジェクトを任されたり、やりたくない仕事を命じられたりと、渋々やらざるを得ない場合もあるでしょう。しかしどんな仕事でも「やってみよう」精神で取り組めば、必ず自己実現と成長につながると思います。
「やってみよう」は、ゴルフにおいても仕事においても必要な、主体性やチャレンジ精神、上達や成長意欲そのものであり、米国の心理学者マズローが提唱したことでも知られている欲求5段階説の最上位「自己実現欲求」を満たす原動力となります。人は目標を掲げ、「なりたい自分」をめざして取り組み、成長を自覚したときに“幸せ”と感じるはずです。例えば、ゴルフで掲げる目標は誰もが必ずしも達成できるとは限りませんが、それでも「やってみよう」と前向きにチャレンジして、チャレンジ前よりも確実に成長し、それにつれて心身も充実するでしょう。こうした自己実現や成長こそが幸せの原点ではないでしょうか。
自己実現欲求に関しては、モチベーションの維持というテーマで、本連載第68回「ゴルフのモチベーションを維持する5つの工夫」でお伝えしています。
ゴルフでは、バンカーショットの後は砂をならす、ショットで削り取った芝生(ターフ)を元に戻し、砂を埋めて修復(目土)する、グリーン上にできたボールマーク(ボールの落下でできたくぼみ)を修復するといった行動を取ります。これらの行動はマナーとしてゴルファーに浸透しています。マナーは自分のためではなく、後続組のプレーヤーが気持ちよく、かつベストなプレーができるようにといった配慮から行うものです。
つまり「相手ファースト」(利他主義)です。そして自分自身も、前のプレーヤーが同様の行動をしてくれているからこそ気持ちよくプレーができます。このように感謝の連鎖があるのがゴルフの特長の1つといえるでしょう。記憶に新しい2024パリ五輪では、多くの競技で対戦相手をたたえ合う姿が見られました。見ていてとてもすがすがしい気持ちになります。ゴルフにおいても、競い合っている相手を応援したり、ナイスプレーを喜んだりといった要素があります。これらは自身のプレーにもプラスに働くとアスリートは本能的に知っているからでしょう。
「相手ファースト」に関しては、本連載第43回「スコアをアップさせる“相手ファースト”思考」で述べています。相手の幸せを応援したり喜び合ったりする「相手ファースト」が、巡り巡って自分に返ってくるとゴルフは教えてくれます。
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執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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