ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2015.11.04
三木楽器ではインターネットの必要性を想定して、数年前から大人向けの音楽教室「MIKIミュージックサロン」にWi-Fiによるお客様のインターネット接続環境を用意してきた。レッスンや音楽に直結した使い方はもちろんだが、生徒には社会人が多くサロンにWi-Fi環境があるとレッスンの直前・直後に仕事をすることができて便利だからだ。「ぎりぎりまでパソコンでお仕事をして、レッスンの時間になったらさっと音楽に切り替えていらっしゃいます」とMIKIミュージックサロン西梅田ブリーゼブリーゼの水野三有紀マネージャーは語る。
<三木楽器>
関西でピアノ、ギター、管楽器などの楽器販売を手がける老舗の楽器店。創業は江戸時代、1825年に遡り、今年で創業190周年を迎える。書籍業からスタートして、1888年に楽器を取り扱うようになった。現在は楽器販売のほか、音楽教室も幅広く展開している。大人を対象にした「MIKIミュージックサロン」は会員数約6000人。子ども向けの音楽教室も含めると会員数は約1万4000人になる。現在も利用している本社ビルは、創業100周年の1925年に建築された建物で、文化財建造物に指定されている。
西梅田にあるブリーゼタワーの商業施設、ブリーゼブリーゼにはおしゃれなファッションやグルメの店が軒を連ねている。その5階に2015年3月、MIKIミュージックサロン西梅田ブリーゼブリーゼがオープンした。楽器が並ぶエントランスを入ると、1人用から多人数用まで大小さまざまな大きさの教室が14部屋用意されている。そこでは、幅広い年齢層の生徒が、サックス・バイオリン・ピアノなど、思い思いに音楽を楽しんでいる。 当サロン内の壁にはいくつかの無線アクセスポイントが取り付けられ、生徒向けの掲示板には、Wi-Fiに接続するためのSSIDとパスワードが表示されている。
最近は大人向けの音楽教室にインターネットが活用されており、スマートフォンやタブレット、パソコンといった情報ツールの利用が進み、音楽を「デジタルデータ」として扱うのが当たり前になっている。
レッスンで使う音楽のデータをその場でダウンロードするケースもあれば、習っている曲をYouTubeなどで聴いて参考にすることもある。レッスンでセッションした音源データをクラウドにその場でアップロードし、参加者で共有して次回までの自習に備えるといった使い方もする。
MIKIミュージックサロンでは生徒にWi-Fi環境を提供する方法として、当初は携帯電話事業者のWi-Fiスポットを導入した。各サロンに構築した社内の情報ネットワークを生徒と共用するのは、セキュリティの観点から問題があると判断したからだ。これによってWi-Fi環境を提供できるようにはなったが、複数の事業者のWi-Fiスポットを導入したこともあり、Wi-Fiの電波の干渉や混信が生じるケースが発生した。しかも、防音設備の影響でレッスン室内に届かない、伝送スピードもあまり速くないという状況もみられた。
三木楽器全体の情報システムを担当するシステム管理室の向井陸主任は「生徒さまに気持ち良くレッスンを受けていただくためには、安定したWi-Fi環境を提供することが必要だと考えました」と話す。そこで改善策として、サロンに生徒専用の光回線を引き込み、量販店で無線アクセスポイントを購入して、自前で設置・設定を行った。
しかし、これでもすべてが解決したわけではなかった。無線アクセスポイントの設置場所は光回線や社内LANの配線によって制限される。自前で環境構築するにはアクセスポイントの多くが事務所内への設置となり、数あるレッスン室すべてにWi-Fiの電波が届かない。その上、コストを重視して無線アクセスポイントに安価な機器を採用したため、同時にストレスなく利用できる端末台数に限りがあったのだ。
さらにもう1つ大きな課題が残った。それはトラブルへの対処だ。「もしつながらないと、限られたレッスン時間にインターネットを利用できず、生徒さまや講師に迷惑をかけてしまいます。Wi-Fiのチャンネル干渉や電波干渉が起こっても、管理ツールがないため本社から遠隔監視もできません。電話で対応を指示しても改善できない場合も多く、私が直接、現場に頻繁に出向かねばなりませんでした」(向井主任)。
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執筆=岩元 直久
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