ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2017.07.26
広島市に9店舗の美容室を持つラランジェでは、スタッフの業務効率化と美容技術の学習支援をめざしてIT環境を整備した。顧客情報を管理するため情報セキュリティーにも留意。全店舗を閉域網で接続するほか、インターネットの出入り口を本社にまとめ、そこにUTMを設置して強固なセキュリティーを確保した。さらに各店舗にWi-Fiも導入することで、お客さまサービスの向上を図りつつ、スタッフがスマートフォンを使って空き時間に研修用動画コンテンツを視聴できるようにして、美容技術のレベルアップも狙っている。
<株式会社ラランジェ>
1933年に東京・銀座で創業した歴史を持ち、現在、広島市に9店舗の美容室を展開する。「お客様の毎日を創る」をテーマに、専門性の高いスタッフが、顧客が快適で元気に過ごせるトータルビューティーを提供している。従業員数150人。
ラランジェは「美容師の社会的地位向上」を経営理念に掲げ、高い技術力や接客などサービススキルに優れた人材の育成に力を入れる。常務取締役の中藤弘樹氏は「技術面、接客面の習得において、美容院は教育産業といえます。お客さまの滞在時間は長く、美容師の仕事はすべて手作業のため、人柄も出ます。そのため当社ではスタッフの教育・研修を重視して活動してきました」と語る。
美容室では1人の美容師がヘアカラーやカットを行うのが一般的だ。だが、ラランジェではカラーリストやスタイリスト、ネイリストなど、それぞれ専門的な技術や知識を備えたスペシャリストを育成している。「スタッフの専門性を高め、より深く、高いレベルの技術を習得するなど、お客さまに満足していただける美容院を運営しています」(中藤氏)
こうした企業方針を持つだけに、同社のスタッフは営業終了後に店舗で新商品の情報収集やスキルアップのための学習をしたり、メーカーの講習会に参加したりする機会も多い。また、毎月、全スタッフを広島市内の本通り店に集めて定例会議を開催していた。
ただ、その参加のために移動時間のかかる郊外の店舗では、営業時間を短縮しているケースもあった。「毎回、全スタッフが顔を合わせる会議を行う必要があるのか問い直しました。移動のための時間や経費、スタッフの負担を軽減し、業務をいかに効率化するかが経営課題でした」(中藤氏)
これまでも会議の内容はメールで各店舗に伝達していた。ただ、通信はISDN回線によるダイアルアップのため、画像など大容量データの送信に時間がかかっていた。それを改善するには、通信環境の整備も必要だ。
同時にスタッフの学習支援や定例会議に代わる情報伝達など、業務効率化の具体的な手段として動画配信に着目していた。動画投稿サイトに、新商品情報やスキルアップのための研修用動画コンテンツをアップすることにした。これにより、講習会に参加できなくても店舗の端末や自身のスマートフォンを使って、時間のあるときに動画コンテンツを視聴して学習できる。結果、効率的な勤務につながると考えた。
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執筆=山崎 俊明
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