ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
6~7年前から盛んになりつつある、ビジネス分野でのパブリッククラウド活用をご存じだろうか。パブリッククラウドは、企業や個人を問わずサービスを利用したいすべてのユーザーに提供されるクラウド環境だ。ハードウエアなど必要な設備はクラウド提供事業者が用意。ユーザーは使いたいときに使いたいだけコンピューティング環境を利用できる。
当初は通信回線の品質や安全性への不安から、性能への要求度が低い情報系業務システムで使われることが多かったが、最近は基幹系業務システムや即時型のオンラインシステムをパブリッククラウドで運用する企業・団体が急速に増えている。
パブリッククラウドの三大勢力として知られるのが、世界各地にデータセンターを置くAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)の3つだ。大規模事業者ならではの安心感に加えて、海外に進出している企業にとっては国内と現地のシステム環境を統一できる魅力も大きい。
さらに、大手の企業や団体の間には、複数のパブリッククラウドと契約して“いいとこ取り”を狙う動きもある。IT基盤のサービスに対して設定される価格体系は、パブリッククラウドによって微妙に異なる。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などの先端技術領域では、事業者ごとに提供内容が異なる。複数のクラウドを使い分ける「マルチクラウド」の仕組みをつくり上げておけば、ICTの状況が今後どのように変わったとしても、その企業や団体にとってのベストなICT環境を持ち続けられる。
例えば日本気象協会は、膨大な気象データや防災データを分析するための計算リソースを手軽に用意できるICT環境として、パブリッククラウドに着目。事業継続計画(BCP)の一環として運用する関東・関西間の冗長化ネットワークを介して、AWSやAzureなどにつなぐ準備を進めている。
また、東京大学は学術情報ネットワーク(SINET5)とAzureを民間通信事業者のクラウド接続サービスを介して接続することで、研究室サーバーを“時間貸し”で運用し、経済効率性の向上をめざしているという。
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執筆=山口 学
【MT】
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