ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2016.05.09
経営者は万能ではない。自分の強みや弱みをきちんと認識することは必要不可欠だ。その上で、ドラッカーは「強みを伸ばすことによって弱みを克服する」ことの大切さを説明する。今回は、その考えに共鳴した経営者のケースを紹介する。
●ドラッカーの言葉
「強みを伸ばすということは、弱みを無視してよいということではない。弱みには常に関心を払わなければならない。しかし人が弱みを克服するのは、強みを伸ばすことによってである」
(『非営利組織の経営』)
〈解説〉人にはそれぞれ指紋があるように、人には固有の強みと弱みがある。弱みには目が行きやすい。自覚もある。しかし強みを自覚する人は少ない。意識せずとも自然に成果に結びついているからだ。強みを自覚し、意識的に生かせば、さらに成果は上がる。弱みは誰かがカバーしてくれる。他人の強みを使い、自分の弱みを意味のないものにする。それがチームだ。1+1が2以上になる。相互補完が、チーム力の源泉だ。
「組織として崩壊寸前だった」。2012年、社長就任時のかめや(長野県原村)の状況を、亀原和成社長はこう振り返る。
かめやは長野県を中心にたこ焼き・たい焼き店「焼きたて屋」を展開する。1989年、亀原社長が先代の社長と共同で設立した。コンテナハウスを使ってスーパーの敷地の一角などに出店。売れ行きが悪ければすぐ撤退し、売れる立地を探して移動する。そんな機動的な出店戦略が当たって、2000年ごろから売り上げが急激に伸びた。月に1坪(3.3m2)当たり600万円を売り上げる店舗もあったという。売上高が10億円を超え、経常利益率は6.7%を確保していた。
つまずきのきっかけは多角化だった。新しい事業の柱を作ろうと考え、2003年からラーメン店やカフェの出店に乗り出したが、売り上げが伸び悩んだ。08年には外食事業からの撤退を始めたが、6000万~7000万円ほどの負債を抱えた。
業績低迷が社内の人間関係を悪化させた。「役員会議では数字の話ばかりで、人のマネジメントは後回し。社員は皆、顔を合わせれば誰かの批判を口にしていた」。古川博徳専務は当時の様子をこう語る。亀原社長がバトンタッチを受けたのは、こんな混乱の最中だった。
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佐藤 等(佐藤等公認会計士事務所)
佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。
【T】
実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ