ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2018.11.08
問題の原因が特定されれば、解決策を講じるのはそう難しくはありません。しかし、プロジェクトの遅延対応のような問題には、複数の人の思惑が絡む場合が多く、最善策を決めるには混乱を伴うことが多いのも事実です。声の大きい人の意見が通ったり、自部門の都合ばかりを考えた議論になったりします。このような事態を避けるためには、納得感のある合理的なアプローチが必要となります。
決定分析プロセスは、以下の3つのプロセスをたどります。
(1)目的を明らかにする
(2)満たすべき要素を定義する
(3)複数案を評価する
(1)目的を明らかにする
問題は同じであっても、問題解決の目的が異なるケースはよくあります。例えば「プロジェクトの進捗が遅れている」としましょう。このとき、問題解決の目的が「コストを予算内に収める」なのか、「納期を守る」なのかで、対策は全く違ってきます。
(2)満たすべき要素を定義する
目的が定まれば、次に「目標」を設定します。目標とは「どうなれば、目的が達成されたといえるのか」という判断基準です。目標を定義すれば、解決策を評価可能になります。
目標の中でも、必ず満たさなければならないものが「絶対目標(MUST)」です。絶対目標には程度がありません。絶対目標は「満たすか」「満たさないか」のどちらかです。
具体例で示しましょう。システム構築プロジェクトのスケジュールが遅延し、現状で「半年遅れ」の状況だとします。プロジェクトマネジャーのあなたはクライアントと交渉し、「3カ月遅れでのカットオーバー」までは許容してもらえました。また、構築中のこのシステムは、稼働後に止めるのが難しく、クリティカルな不具合は絶対に出さない条件となっています。この場合、「3カ月以内の遅延で収める」「リリース後のクリティカル不具合ゼロ」の2つが絶対目標となります。
ミーティングの結果、上記2つの絶対目標を達成するための案として、「外部に委託する」「メンバーを他のプロジェクトから引き抜く」「要件を削減(ドロップ)する」という3つの案が出されました。図5を見れば分かるように、1つ目の案は「4カ月遅れに短縮」ですから、「遅延を3カ月以内に収める」という絶対目標を満たしていません。よって「NO GO」となります。
(3)複数案を評価する
絶対目標以外の「できれば望ましい」ものが「希望目標(WANT)」です。希望目標は「GO/NO GO」の2値ではなく、相対的にどの程度満たしているかの判断となります。また、それぞれの目標の重要度では同じではないため、目標に重みを付ける必要があります(図6)。
図6の例では重みを付けて評価した結果、A案がスコア144、B案がスコア160となりました。B案がより良い選択ということになります。重み付けやポイントは感覚値ですから、このスコアは厳密に定量的なものではありません。しかし、判断のプロセスとロジックが見える化されて説明が可能になり、ステークホルダーの納得感も得やすいのです。
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執筆=芝本 秀徳/プロセスデザインエージェント代表取締役
プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。
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