半導体不足の影響でビジネスフォン主装置も機種によっては品薄が続く。新規導入・更新に時間がかかっている。そうした状況の中でも事業者はさまざまな工夫を重ねながら、企業をサポートする努力を続けている。
NTT西日本では、ビジネスフォン「SmartNetcommunity αZX LIGHT」の提供を開始した。このαZX LIGHTも当然ながら、半導体などの電子部品を使っている。だが、スマホや自動車メーカーなどと競合しがちな先端半導体とは異なる半導体を主装置に採用し、ビジネスフォン主装置のラインアップを拡充した。
ビジネスフォン主装置や電話機台数の考え方
ビジネスフォンの法定耐用年数(減価償却資産)は6年となっている。もちろん、故障していなければ法定耐用年数を超えての使用は可能だが、古い機種だと故障時に交換部品が入手できないケースもある。老朽化でリプレースを検討するより、リース切れを契機に新しい機種へのリプレースを検討したい。
リプレースの場合、既存のビジネスフォンと同様のチャネル数(同時に外線通話ができる数。回線数とは異なる)と電話機の台数があればいいと考えがちだ。だが、ビジネス環境の変化とともに、従業員数やオフィスレイアウトも変わっていく。オフィスに適したビジネスフォン主装置のチャネル数と電話機の選び方を紹介しよう。
NTT西日本が推奨するチャネル数は従業員数の1/3が目安となる。従業員数が50人のオフィスであれば15~20チャネル(ch)を目安に機種を選定する。また、電話機の台数はデスクの数と会議室の数が目安となるといわれる(あくまで参考値)。
電話機台数、チャネル数の目安
(従業員数とデスク数が異なるケースもある。実際は各社の状況によって異なる)
ビジネスフォンの基本機能を低コストに利用…
ビジネスフォンは多機能・高機能化が進んでいるが、機能を十分使いきれていない企業も実は少なくない。リプレースの検討時に、既存のビジネスフォン主装置の機能を確認し、機能の要・不要を判断したい。
αZX LIGHTは、すでに販売している「αZXシリーズ」に比べて機能を絞り込み、αZXシリーズと比較してリーズナブルな価格で導入できるのが特徴だ。Type SとType Mがあり、最大チャネル数はType Sが8ch、Type Mが12chとなる(※回線種別により回線数は異なる)。内線数は多機能電話機(スター型配線のみ)でType Sが10台まで、Type Mが30台までとなっている。
サービス機能は発信(電話帳)、着信(ダイヤルイン、内線個別着信、内線代表着信など)、通話(会議通話)、保留・転送(外線・内線の外線への転送、転送電話など)といったサービス機能を利用できる(拡張ユニット搭載不可のため一部機能に制約がある)。
αZX LIGHTに収容できる多機能電話機は固定型の多機能電話機のほか、防水機能を強化したDECTコードレス電話機も使える※。設定で電波の届く範囲を広げられる。接続装置を組み合わせれば、倉庫内や店舗内で電話機を持ちながらの利用に使いやすい。そのほか、固定型多機能電話機の設置が困難な場所で利用されている。例えば商業施設の催事スペース。催事ごとにレイアウトが変わるため、固定電話機を置くのが難しい。そこで、卓上タイプのDECTコードレス電話機を活用して発着信する例もある。
固定型の多機能電話機やデジタルコードレス電話機は従来のαZXと同じタイプのため、αZX LIGHTからαZXに主装置を更新した場合にも利用できる。買い替えのムダがないといった利点もある。
※36ボタン電話機、IP多機能電話機、スタードアホン等、「αZXシリーズ」で利用可能な端末のうち一部はαZX LIGHTに接続できない。
αZX LIGHTの外線、内線の最大収容数
中小企業を総合的にサポートできる事業者を選ぶ
αZX LIGHTは中小企業のオフィスや店舗などの利用を想定して機能を絞り込んでいる。そのため、フレッツ・VPN ワイドなどを利用して複数拠点を結ぶ内線通話の機能には対応していない。また、スマホをビジネスフォンの内線電話にすることもできない(αZXでは可能)。αZX LIGHTは、リーズナブルなコストで基本機能が備わったビジネスフォンを更新あるいは新規導入したいという、企業・店舗・施設のニーズに対応したラインアップといえる。
今後、事業の拡大やテレワークの導入などでαZX LIGHTの機能に不足を感じたら、電話機はそのまま、主装置のみの更新でαZXへ更新できる。ビジネス環境の変化に応じて多様な選択肢があるわけだ。このように企業の電話の活用法を熟知し、豊富な知見に基づく安心感のある商品・サービスを提供できるのもNTT西日本だからこそともいえる。
電子機器・通信機器をはじめ、さまざまな分野で利用される半導体不足がいつ収束するかは見通しがつきにくい。こうした時代だからこそ、中小企業の業務に必要なビジネスフォンから通信環境まで総合的に商品・サービスを提供する努力をしている事業者をパートナーに選びたい。
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