ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2016.01.29
直木賞を受賞後、ドラマ化を果たした『下町ロケット』が、昨年末にブームになりました。
本作の魅力の1つは、原作者の池井戸氏が銀行員時代に経験したリアルな業界描写。ドラマの中でも元銀行員の経理部長が重要な役を演じていて、序盤では会社の中でどことなく疎外感が描かれています。銀行と企業は、互いにパートナーでありながらも、どこかで利害が対立する関係でもあります。活気あふれる素晴らしい企業であっても、銀行の評価は低い――そんなことが往々にしてあるのです。
ここでは、現役銀行員の立場から見た「良い経営者」「悪い経営者」についてご紹介します。
銀行員にとって、良い経営者として挙げられるのは次の4種類です。「(1)ケチな経営者」「(2)情報開示に協力的な経営者」「(3)情報提供に協力的な経営者」「(4)とにかく信頼関係を築ける経営者」です。以下にそれぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)ケチな経営者
ドラマや映画において、大成した事業家は闊達豪放(かったつごうほう)に描かれることがしばしばあります。しかし、銀行はこうした経営者を嫌う傾向にあります。銀行が求めているのは、地味でケチな経営者、つまり毎期確実にコツコツと利益を積み重ねていく経営者です。
もちろん、闊達豪放で人間的な魅力を持っている経営者は数多くいますし、その中には大きな成功を収めている方もいるでしょう。しかし成功する経営者は、大胆さだけでなく、繊細さと緻密さを兼ね備えています。
(2)情報開示に協力的な経営者
銀行員は稟議書で、なぜ融資が必要なのか、その融資によって業績がどのように変化するのか、そして融資金が確実に回収できる根拠を説明する必要があります。これらは具体的な数字で、誰もが納得できるように証明する必要があるため、企業の協力が不可欠です。経営者が「絶対大丈夫」と豪語しても、根拠がなければ稟議書は書けません。そのためには、企業の情報開示が不可欠なのです。
(3)情報提供に協力的な経営者
(2)の「情報開示」と似ていますが、「情報提供」も重要なキーワードです。担当者のメンツが丸つぶれになるのは、融資金をいきなり他行に借り換えられることです。「他の銀行がもっと低い金利で貸してくれるから融資は全部返済する」と、いきなり融資返済を申し出られるのは銀行員の恥。担当者は上司から責められることになります。このような状況をつくってしまうと、窓口である担当者と良好な関係を継続するなど不可能です。担当者との関係がうまくいかなければ、対銀行との関係がうまくいくはずがありません。
もし他行からより良い条件の提案があれば、比較検討するのは当然です。しかしこうした情報はメインバンクの担当者にも伝え、良好な関係を築いておくべきです。
(4)とにかく信頼関係を築ける経営者
結局のところ、ビジネスの基本は銀行員が相手であっても変わりません。自ら積極的に「信頼関係」を築こうとする経営者に対しては、融通を利かせることもあるでしょう。何かの折には銀行にも顔を出し、担当者だけでなく支店長とも話せる関係を構築すべきです。
銀行は「晴れた日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」と批判されることがありますが、それは、そもそも互いの信頼関係が築けていないことに原因があるケースも少なくありません。銀行からすれば、「雨が降る前に傘の準備をするよう」進言したとしても、聞き入れようとしない経営者もいるのです。
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執筆=南部 善行(studio woofoo)
1991年、関西学院大学経済学部卒業。同年、地方銀行に入行し、長年にわたり地域に密着した経済活動を支援。支店勤務では営業統括部門の責任者として経験を積む。資産運用、税務、財務など幅広い分野の経験、知識を生かし、現在は富裕層を対象に資産運用、コンサルティング業務を行う専門部署で活躍。その他、豊富な実務経験を生かし現在は不動産、相続対策など、関連分野においてフリーのライターとして活動している。
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