ビジネスを加速させるワークスタイル(第12回)知っておきたい。円相場の変動に負けない企業の条件

IT・テクノロジー 経営全般

公開日:2024.10.16

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 日米の為替相場、ドル円の変動に気をもむ経営者は多いだろう。例えば、昨今ドル円は一時歴史的な160円台半ばの円安で推移した。そして、2024年9月中旬においては140円台前半まで戻している。ドル高・円安の主な要因は日本と米国の金利差にある。日銀は長らくゼロ金利で日本の経済活動を支え、今は利上げしたとはいえ低金利のままだ。一方、米国はインフラ対策として高めの政策金利を続けてきたが、FRB(米連邦準備制度理事会)による景気判断と利下げの動きに応じて今後のドル円相場も変動することになる。

日本経済に影響の大きい為替相場の変動

 円安は輸出企業に追い風となる一方、輸入企業には痛手となる。原材料の多くを輸入に頼る食品などの物価高が続いている。輸入価格の上昇によるインフレ圧力が高まる結果、個人消費の低下を招くなど、為替相場の変動は日本経済に大きな影響を与えることになる。

 円安は中小企業にどんな影響を与えるのか。独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施した「中小企業における円安の影響に関する調査」(令和4年12月)がある。調査対象は製造業や卸売業、小売業、サービス業など1000社で、調査前には1ドル150円の円安が記録された時期だ。

 円安が与える影響について、「メリットのほうが大きい」(4.5%)、「デメリットのほうが大きい」(50.6%)、「メリットとデメリットは同じ程度ある」(11.2%)、「特段の影響はない」(26.7%)となっている。メリットの内容は、「為替差益による収益の増加」、「取引先の輸出増加による受注増加」、「取引先の国内回帰による受注増加」、「輸入品価格の上昇による価格競争力の向上」、「インバウンド需要の増加」などだ。

 デメリットの内容は「原材料・商品仕入価格の上昇」、「燃料価格の上昇」、「コスト増加分の価格転嫁による販売数量・売上の減少」、「物価上昇による消費マインドの悪化」などがある。円安進行の対応策として「取れる対応策がない」(37.1%)、「特に対応策は考えていない」(24%)となっており、約60%の企業が対応できない実態が浮かび上がる。

 一方、「既に対応策を取っている」と「今後対応策を取る予定」を合わせると26.4%に上る。その対応策として、「商品・サービス価格への転嫁」が最も多く、「経費の削減」「仕入先・仕入方法・仕入価格の見直し」「製造・サービス体制の見直し」「人材育成・リスキリングによる労働生産性の向上」「IT、DX、設備投資を活用した生産性の向上」などが続く。

 原材料の価格高騰や燃料価格の上昇などは急速な円安進行のデメリットとしてメディアなどでも取り上げられてきた。コスト増加分を販売価格に転嫁したいが、取引先や消費者に理解してもらえるかどうか分からず、価格転嫁になかなか踏み切れないという経営者もいるだろう。

円安対策で重要になる業務の見直し…

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執筆=山崎 俊明

【MT】

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