ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2016.07.13
ラグビーワールドカップの大活躍で話題となった五郎丸歩選手。選手として基礎を固めた早稲田大学ラグビー蹴球部時代の監督が中竹竜二氏だ。五郎丸選手は、今でも影響を受けた指導者として中竹氏の名前を挙げる。中竹氏に結果を出す部下への指導法を学ぼう。
今回の「部下に気づきを与える」言葉は、若手を育てる際に役立つものだ。上司はマニュアルを作って業務の効率化を促す。一方で、部下は上司に倣って仕事をしようとする。ただし、マニュアルに従うだけでは成長は持続しない。部下の成長を願うならぜひタイミングよく部下にささやきたい。
「教本は裏を読もう」。ラグビー選手を指導するとき、よく言うのがこの言葉だ。教本には標準的に優れたプレーが書いてある。パスはこう、スクラムはこう、と。
ビジネスでは、教本というよりはマニュアルという名称のほうが一般的だろう。マニュアルというと、小売業やサービス業の接客マニュアル、クレーム対応マニュアルなどをイメージしがちだが、経理処理マニュアル、社内イントラネット使用マニュアル、新規開拓電話マニュアル、顧客プレゼンテーションマニュアル、企画書作成マニュアルなど、企業には実にさまざまなマニュアルが存在し、やはり標準的に優れた手順が記されている。
標準的に優れたプレーや行動とは、つまり「What(何を)」「How(どのようにやるか)」である。米国で活躍する著名な著述家、サイモン・シネック氏が提唱するリーダーシップモデル「ゴールデン・サークル」をご存じだろうか。それは、「Why(なぜ)」が核となり、「What」「How」を外側に配置した同心円だ。まずは目的ありき。極端に言えば、それが人を動かす原点だと、このモデルは教えている。
マニュアルも「人を動かす」道具に違いない。しかし、マニュアルに書かれていることは「What」「How」のみであり、重要な「Why」が抜けている。「Why」はどこに隠れてしまったか。それは作った人の心の中である。
多くの場合、マニュアルを作るのはその組織のリーダーだ。リーダーが最良のノウハウを、全員が効率よく実践できるように作成する。リーダーはその目的のために「What」「How」だけを表出させる。「裏を読め」とはすなわち、ここで抜け落ちてしまった「Whyを考えろ」ということだ。裏を読むことが大切な理由は2つある。
1つは、ラグビーにしろ、仕事にしろ、教本やマニュアル通りに実行したからといって、すべてうまくいくとは限らない。特に営業の新規開拓やプレゼンテーションなど、相手がいる場合はそう思うように事は運ばない。うまくいかないとき、なぜマニュアルにそう書かれているのかに立ち返ることによって、解決策が見えてくることがある。
そして、もう1つは、もっとよい方法があるにもかかわらず、マニュアルをうのみにしていると、その方法を探ることがなくなる。ノウハウの進化がなくなってしまうのだ。
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中竹 竜二
1973年福岡生まれ。93年早稲田大学入学、4年時にラグビー蹴球部主将を務め、全国大学選手権準優勝。卒業後、渡英しレスター大学大学院社会学部修了。2001年三菱総合研究所入社。2006年早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。2010年退任後、(公財)日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任。近著に『部下を育てるリーダーのレトリック』(http://www.amazon.co.jp/dp/4822249719)がある。
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五郎丸に影響与えた指導者の部下育成術