今回開業するのは、新青森~新函館北斗の約149キロ。2031年に予定されている新函館北斗~札幌の約211キロが完成して初めて北海道新幹線の全面開業となるが、まず今回の開業で津軽海峡を新幹線で渡れるようになる。
開業時のダイヤでは、新青森、奥津軽いまべつ、木古内、新函館北斗の4つの駅を結び、1日に13往復する。このうち10往復は、東北新幹線との乗り入れにより東京~新函館北斗を乗り換えなしで結ぶ。それに加えて新青森、盛岡、仙台との間にそれぞれ1往復が設定され、合計13往復となる。東京~新函館北斗間の所要時間は最短で4時間2分だ。
仙台~新函館北斗間の所要時間は、最短で2時間30分。現在、仙台から函館まで鉄道で行くには新青森で乗り換える必要があり、4時間程度かかる。北海道新幹線の開業によって、東北地方から北海道への移動が便利になるのは間違いないだろう。
北海道新幹線開業によって交通利便性が高まり、観光・ビジネスにおいて交流人口の増加が見込まれる。それに伴い、道内の経済波及効果への期待も大きい。
日本政策投資銀行は、北海道新幹線の開業による経済波及効果を年間約136億円と試算した。宿泊サービス、飲食、土産、交通サービスへの需要増で約73億円、それらの需要増に対応するための原材料等の投入で年間約28億円、原材料等の投入によって誘発される生産増が約41億円、所得の増大効果が約23億円。合計で年間約136億円だ。
2031年に予定されている札幌までの延伸では、さらなる経済波及効果が予測されている。北海道庁の北海道総合政策部では、2031年度に新函館北斗~札幌が開業した場合、初年度に交流人口が45.7万人増、7137人の雇用が新たに創出され、約1039億円の経済効果をもたらすと試算している。北海道の中心都市である札幌まで新幹線がつながる効果は大きい。
料金を飛行機と比較すると
料金(大人・普通車指定席・通常期)は、新青森~新函館北斗が6740円、仙台~新函館北斗が1万3710円、東京~新函館北斗が2万2690円だ。一方、大手航空会社の正規料金では、羽田~函館が3万5000円台(通常期)になっている。
この比較では、1万円以上の差があるが、飛行機の場合、割引サービスを利用するなど購入法を工夫すれば2万円台、もしくは1万台のチケットまである。それと比べた場合には料金的なメリットはそれほど感じられなくなる。
しかし、北海道新幹線にも各種割引サービスが用意されており、利用すれば料金はかなり安くなることをチェックしておきたい。例えば、JR東日本のインターネット予約限定きっぷ「えきねっとトクだ値」では、東京~新函館北斗間が正規料金より1140円割安な2万1550円に。13日前までに予約する同きっぷの早割サービス「お先にトクだ値」では5680円割安な1万7010円だ。JR北海道のインターネット予約限定きっぷ「北海道お先にネットきっぷ」でも、1万7010円になる。
JR東日本のモバイルSuica特急券「モバトク」なら2060円割安な2万630円。さらに割引率の高い「スーパーモバトク」では7320円割安な1万5460円だ。
実際のダイヤで所要時間を現状と比較する
前述の通り、東京~新函館北斗間の最短所要時間は4時間2分だが、東京からの始発「はやぶさ1号」の場合、6時32分発で、新函館北斗着が10時58分なので、4時間26分かかる。さらにアクセス列車「はこだてライナー」に乗り継ぎ、函館駅に着くのは11時25分だ。
飛行機の場合、東京駅を6時半頃に出ると、搭乗できるのは日本航空の7時50分の便で、函館空港着が9時10分になる。空港からリムジンバスなどを使って函館駅には10時前には到着する。ただ、7時50分の便が満席だったり欠航したりした場合には、次便は10時30分発で函館空港着は11時50分なので、新幹線のほうが早く着くことになる。
これは東京駅からの利用を考えたケースだが、北海道新幹線は途中、大宮や仙台、盛岡にも停車するのでそこからの利用も考えられる。「はやぶさ1号」の大宮発は6時58分。大宮をこの時間に出た場合、羽田発7時50分の飛行機には間に合わないので、新幹線利用のほうが早く到着する。
仙台からの移動では、さらにメリットが感じられそうだ。現在、仙台~函館の飛行機の定期便はないので、一般的には鉄道利用になる。東北新幹線で新青森まで行き、乗り換えて4時間程度かかる。例えば、6時40分発の東北新幹線に乗り新青森で乗り継いだ場合、函館着は11時40分になる。北海道新幹線開業後は仙台発6時40分の「はやぶさ95号」で新函館北斗に10時7分に着き、函館着は10時46分。1時間近く早く到着できる。盛岡から函館へも同様に時間短縮が可能だ。北海道新幹線開業によって、東北地方から北海道への移動が便利になるのは間違いない。
上記のケースでは、早朝発で函館に向かった場合を考えたが、実際にはさまざまな利用法があるだろう。発表された北海道新幹線のダイヤと、自分の住んでいるところ、訪問先、スケジュールなどを考えて、3月末から出張などに上手に使いたい。
※飛行機・鉄道のダイヤは2016年1月時点