クレジットカードでの買い物や航空会社の利用などでためることができる「ポイント」は、私たちの生活の中ですっかりなじみのものとなった。総務省が2017年9月25日にスタートさせた「自治体ポイント制度」は、こうしたポイントを地域活性化に生かす新しい試みだ。
自治体ポイント制度では、ボランティアなど地域活動を行った人に地方自治体がポイントを付与する。ためたポイントは「1自治体ポイント=1円分」として計算。地域の商店街での買い物や公共施設の利用、オンラインでの名産品などの購入などに利用できる。
清掃や介護支援などのボランティア活動、手話奉仕員養成講座や認知症サポーター養成講座への参加などによってポイントを与える自治体もある。さらに医療費削減が日本の大きな課題となっている今、健康づくりプログラムへの参加や健康診断の受診などに対して健康ポイントを付与する自治体もあるが、このポイントも自治体ポイント制度の対象になっている。
民間発行のポイントを合算して使える…
自治体ポイント制度で注目されるのは、クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージなども合算して使うことが可能になっていることだ。
地域経済応援ポイント協力企業となっている企業にはジェーシービー、クレディセゾンなどのクレジットカード会社や日本航空、全日本空輸、関西電力、NTTドコモなど12社が名を連ねている。こうした企業が発行したポイントやマイレージも、手続きを踏めば自治体ポイントに変換して使うことができる。
こうしてまとめれば、使用しないままで放置しがちなポイントも有効活用しやすくなる。自治体が付与するポイントを獲得しないでも、地域経済応援ポイント協力企業のポイントがあれば、自治体ポイントに変換してまとめて使うことが可能だ。
自治体ポイント制度のポイントが使えるのは、地域の商店、美術館、博物館、公共交通機関など。例えば、東京都豊島区では11月1日から、池本町中央通り商店街、池袋本町通り商店街などの商店で自治体ポイントを利用して買い物をすることができるようになる。群馬県前橋市では、物産館の「ヴェント前橋」での買い物に使えるほか、美術館のアーツ前橋、前橋文学館も自治体ポイントの対象だ。
ネット通販やクラウドファンディングにも利用可能
また、現地で自治体ポイントを使う機会がない人には通販サイトもある。例えばトラストバンクが運営する「めいぶつチョイス」で、自治体ポイントを使って買い物ができる。静岡県袋井市の最高級メロン、宮崎県都城市の宮崎牛のサーロインステーキ、京都府の丹波松茸などのといったグルメのほか、福岡県大川市のテーブルなど名産品が豊富にそろっている。
そのほか、ミュージックセキュリティーズの運営するクラウドファンディングサイト「セキュリテ」でも自治体ポイントは利用可能だ。セキュリテは、それぞれの地域で抱える課題を、クラウドファンディングを通じて解決しようとするサイト。熊本県阿蘇郡小国町の地熱発電ファンドや愛知県豊橋市で介護用のトレーラーハウスを造るファンドなど、多彩なプロジェクトを、自治体ポイントを使って応援することができる(10月17日現在)。
今回の自治体ポイント制度は、図書館をはじめとした公共施設の利用者カードと一体化することでマイナンバーカードの普及をめざす「マイキープラットフォーム構想」の一環として始められたもの。
そのため、利用にはマイナンバーカードとともに、インターネットの「マイキープラットフォームポータルサイト」でマイキーIDを作成する必要がある。後は必要に応じてサービスIDを登録すれば、利用が可能になる。
クレジットカードなどのポイントをせっかくためながら、失効させたり、死蔵させたりしている例は少なくないだろう。眠っているポイントを有効に活用でき、地域への貢献もできる自治体ポイント制度。登録の手間をかけても利用する価値はあるはずだ。