企業を元気にする人事評価システム(第3回)従業員をねぎらうなら評価制度をプレゼントしよう

業務課題 人材活用

公開日:2016.03.29

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 最終回は、経営者の皆さんに向けた人事評価システム導入の勧めだ。人材獲得競争に打ち勝ち、従業員と信頼関係を築くためには、経営者の大いなる決断が必要だと高橋恭介社長は力説する。

企業 ― 企業、経営者 ― 従業員でも「信頼」が何よりも大切

 私が起業したのは「社会に受け入れられ、社会に必要とされるサービスを、新たに作り出して提供していきたい」という思いが強かったからです。20代のときに転職したプリモ・ジャパンという宝飾品販売のベンチャー企業では、取締役の立場で直接経営に参加させていただき、数十人だった正社員数が500人以上、売上高が100億円超の企業にまで成長していきました。そして、34歳になるときに起業するなら気力も体力もある今だと決意し、2008年9月に会社を設立しました。

 プリモ・ジャパンはブライダルジュエリーの分野では名前が知られており、台湾に子会社を立ち上げて社長を務めました。この子会社は、いまや台湾の宝飾品業界を代表する企業の1つになりました。ティファニーを超えてブランドランキング1位になっていると聞いています。

 さて、起業するのには3つのやり方があります。1つは起業しても従業員を雇用しない、家族もしくは秘書や経理を担当するアルバイトを1人雇うくらいのやり方です。よくあるのがコンサルティングや教育研修系、もしくは士業ですね。1つの独立の方法だと思います。

 2つ目は「代理店」です。すでに世の中にある商材を営業セクションとして売っていきます。フランチャイズ、代理店やOEM(相手先ブランドによる生産)もこのタイプに入ります。商材はどこからか仕入れて売っていくというケースです。

 3つ目は従業員を雇用し、サービスもゼロから世の中に生み出していく方法です。一番リスクが高くて難しいやり方です。

 せっかく自分が起業するのであれば3番目のいばらの道が最も成功することが難しい分、おそらくリターンも大きいのではないかと考え、私はこの道を選びました。

 ジュエリー業界からHR(ヒューマンリソース)業界へ――。私がこの経歴を説明すると、まったく異なる分野への転身と思われがちです。しかし、私自身にとっては、宝飾品の会社でも最高のチームづくりを行ってきました。おこがましいかもしれませんが、プリモ・ジャパンが現在でも継続的に利益を出し続けているというのは、私が取締役として参加していた6年間で人事の仕組みを構築した点が成長の根幹にあると自負しています。そしてその経験を基に、今のビジネスを生み出しました。

 ところが、2008年に会社を設立した直後、リーマン・ショックが起こりました。世の中の企業は風前のともしびのような状態に陥り、どこも採用どころではありません。さらにやっと落ち着いてきたと思ったら今度は東日本大震災が発生。創業してから3年はずっとピンチでした。

 それでも、ここまでやって来ることができたのは最初のクライアントのおかげです。無名でまだサービスが不十分だった頃からのクライアントが取引を継続してくれているのと、その紹介のお客様に助けていただいてきたからです。…

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執筆=森部 好樹

1948年佐賀県生まれ。東京大学を卒業後、旧日本興業銀行に入行。香港支店副支店長などを経て興銀証券へ出向。ビックカメラで取締役を務め、2002年、格安メガネチェーン「オンデーズ」を設立し社長に。2007年共同広告社に移り、2008年同社社長に就任。2013年に退社して独立し、顧問業を専門とする会社、ロッキングホースを創業。現在代表取締役。

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