ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2022.02.22
店舗やSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)など小規模事業者において、売り上げの増加を期待しにくい場合、厳しい事業環境を乗り越えて生き残りを図るには経費の見直しが必須だ。
「コストの見直しは徹底的にやってきた」小規模事業者に再検討してほしい経費がある。それが通信費だ。「注文などを受け付ける電話やFAXは業務の生命線なので減らせない」という経営者もいるかもしれないが、ある方法で既存の電話機やFAX機をそのまま使いながら、通信費を減らせる可能性がある。加えて、転送電話などの機能を活用して商機を広げることも可能だ。
電話の切り替えといえば、店舗・事業所の開店や移転時が思い浮かぶ。だが、小規模事業者の経営課題となる経費の見直し、商機拡大のためには既存の加入電話(固定電話)から「ひかり電話」へ切り替える方法がある。電話回線に光ネットワークを利用するひかり電話はさまざまな通信事業者が提供しているが、ここではNTT西日本のひかり電話を例に紹介する。
ひかり電話は、インターネットサービスで利用されるフレッツ光(FTTHアクセスサービス)または一部の「コラボ光」を利用したIP電話サービスだ。既にインターネット接続用にフレッツ光に加入している事業者の場合、既存のフレッツ光のオプションサービスとしてひかり電話を利用できる。ひかり電話は個人宅だけでなく、店舗やSOHOなどの事業者でも利用され、フレッツ光の契約者の68.5%(2020年11月末現在 光コラボレーションモデル、ひかり電話 オフィスタイプ、ひかり電話 オフィスAを除く)がひかり電話を利用する。
そのメリットの1つが電話料金を加入電話よりもコストダウンできるところだ。固定電話への通話料は、距離や時間帯に限らず全国一律(音声のみで使用する場合8.8円/3分)だ※1。例えば、県外の取引先に電話をかける場合、加入電話は22~88円/3分の通話料がかかる(NTTコミュニケーションズ利用の場合)が、ひかり電話であれば割安になる。また、携帯電話への通話料は加入電話と同じ17.6円/分。さらに米国や中国、韓国など海外へも通話可能だ。
※1
・ひかり電話オフィスA(エース)プラン1.を除く。NTT西日本・NTT東日本の「加入電話」「INSネット」「ひかり電話サービス」および「コラボ光ひかり電話」〔テレビ電話・音声通話中のデータコネクト通信(データ通信)同時利用・データコネクトへのデータ通信は除く〕、他社一般加入電話、他社IP電話(050番号への通話を除く)へ発信の場合。国際電話・携帯電話・050IP電話・テレビ電話・ナビダイヤル等への通話料金は異なる
・通話時間が短い場合、割引サービス加入状況等によっては割安にならない場合がある
IP電話サービスというと、電話番号や使い勝手が変わるのではないかと心配かもしれない。だが心配は無用だ。ひかり電話は加入電話で使用していた電話番号や電話機をそのまま使え、使い勝手は変わらない※2。また、緊急通報への発信もできる。ただし停電時は利用できない。
※2
・現在利用中の電話番号を引き続き利用する場合は、ひかり電話の工事費(基本工事費1100円(フレッツ光と同時工事の場合は無料)、交換機等工事費1100円)に加え、同番移行工事費2200円、加入電話等の休止に関する基本工事費1100円(フレッツ光と同時工事の場合は無料)、交換機等工事費1100円が必要。また、注文内容によって別途機器工事費等が必要となる場合がある(代表的な工事例であり、お客さまのご利用環境等により、その他工事費が発生する場合がある)
・現在利用中の電話番号が引き続き利用できない場合がある。また、「ひかり電話」から他社の電話サービス(光コラボレーション事業者が提供する「コラボ光ひかり電話」は除く)に移行する場合、電話番号が変わる場合がある
・ISDN対応機器、G4FAXなど、一部の電話機は利用不可
ここで小規模事業者を例に既存の加入電話とひかり電話(基本プラン)を比べてみよう。
【ひかり電話導入前後の比較】
現状は電話用とFAX用に2本の電話回線およびインターネット接続用にフレッツ光、転送電話の「ボイスワープ」に加入している事業所があるとする。この事業所でひかり電話に切り替えた場合、フレッツ光の月額利用料やFAX用の追加チャネル、追加番号、ボイスワープ利用料などを加えても、プロバイダー利用料を除いた月額基本料の合計は現状の加入電話の2/3程度になることもある。別途、加入電話からひかり電話への移行時に工事費がかかるものの、月額基本料および通話料の低減で、電話に関わる通信費の軽減が期待できるわけだ。
※ひかり電話について
・「ひかり電話(またはひかり電話A(エース))」の利用には、「フレッツ 光ネクスト」「フレッツ 光ライト」または一部の「コラボ光」の契約・料金が必要。なお、「コラボ光」が廃止された場合、「ひかり電話」も同時に廃止になる
・0039等の電気通信事業者を指定した発信など、一部かけられない電話番号がある
・インターネットの利用には、プロバイダーとの契約・料金が別途必要
・1電話番号ごとに、ユニバーサルサービス料2.2円(税込)/月および電話リレーサービス料(2022年2月・3月は0円/月、2022年4月以降は変更)が必要(オプションの「追加番号」も同様)。なお、ユニバーサルサービス料および電話リレーサービス料については変更となる場合がある。詳細はホームページを参照(2022年2月現在)
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執筆=山崎 俊明
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