ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2016.06.13
連載3回目は、前田社長が大手メーカーと中小企業を結ぶマッチングサービスを発想して、実現にこぎつけるまでのプロセスを紹介します。問題意識の持ち方、それを具体的なビジネスにつなげる行動は新規事業を手掛ける上で、大きなヒントになるはずです。
福井県で生まれ育った前田社長。スポーツが好きなやんちゃな少年だったといいます。中学生の時はバドミントン部のキャプテンを務めました。起業志向は特になかったといいますが、稲盛和夫氏を崇拝し、京セラへ入社しました。「今もビジネスをする際に大事にしている利他や感謝の精神は稲盛さんに教わったものです」と前田社長は話します。
京セラには約6年間勤務しました。やがて大企業の中で自身の仕事に意味を見いだせなくなり、もう少し社会にインパクトを与えるような仕事をしたいと考え退職を決意します。
「昔からずっと、誰にでもできるような仕事はしたくないという思いがありました。頭でそう考えるというよりは、体が無意識に動くんです」と前田社長は京セラを辞めたときのことを振り返ります。
1年半後、前田社長は大手コンサルティング会社の野村総合研究所に入社し、買収戦略を担当します。このときに感じたことが、現在のLinkersのビジネスモデルへとつながっていくのです。
「エネルギー産業での買収戦略をずっと担当してきました。その上で重視してきたのは、それぞれのバリューチェーンにおけるプロフィットプール、つまり、1つの業界に関わっている会社の利益の総和です。例えば、太陽光発電関連の業界なら、太陽光発電のパネルメーカー全社の利益を合算し、パネルの素材メーカー全社の利益を合算して、全体のプロフィットプールを算出します。すると、業種によって利益の配分が異なることが見えてきました。例えば太陽光発電ではパネルメーカーは数千社ですごく小さな利益を奪い合っています、一方でファイナンスでは10社くらいで何兆円という利益を上げています。それがすごく不公平だと感じたんです」(前田社長)
「一生懸命頑張って数千億円投資して、ようやく微々たる利益を出しているのが材料メーカーやパネルメーカーなんです。そういった意味で、私は日系のパネル業や製造業の企業に対しては、ファイナンス業務に参入するようにとずっと提言してきました。そういう買収戦略によって、平準化すること、本当に頑張ったものがそれに見合った利益を得るという業界をつくりたかったんです」と前田社長は振り返ります。
なぜ日本のものづくり企業がバリューチェーンの利益の少ない部分をわざわざ取り合っているのか。それは、業界の全体像が分かっていないからだと指摘します。…
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執筆=森部 好樹
1948年佐賀県生まれ。東京大学を卒業後、旧日本興業銀行に入行。香港支店副支店長などを経て興銀証券へ出向。ビックカメラで取締役を務め、2002年、格安メガネチェーン「オンデーズ」を設立し社長に。2007年共同広告社に移り、2008年同社社長に就任。2013年に退社して独立し、顧問業を専門とする会社、ロッキングホースを創業。現在代表取締役。
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