ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2017.09.26
地方から都市部に就職したり、勤めている会社で転勤になったりした際に、住宅手当や社宅があるとありがたいものです。似たような制度にも思える住宅手当と社宅ですが、実は会社や従業員にとって、税金などの取り扱いが変わってきます。
自社で住宅手当、社宅の制度導入を検討する場合には、相違点に注意しなければなりません。今回は、「住宅手当と社宅ではどちらがお得なのか?」という視点から、両者の違いについて確認してみたいと思います。
住宅手当は、生活保護あるいは福利厚生などを目的として、一定の基準を満たす従業員に支給する手当になります。具体的な支給基準は各社で定める支給規程などに従うことになりますが、一般には「世帯主であること」や「実家に住んでいないこと」などを要件とする場合が多い手当です。
これに対して、社宅は従業員のために会社が用意した住宅であり、従業員から一定の賃料を徴収して使用させることが一般的です。従業員は通常の家賃より安く住宅を借りることができるため、こちらも福利厚生として機能します。社宅には、自社が保有する物件を使用する「社有社宅」と、会社が他者から賃借した物件を使用する「借り上げ社宅」があります。
住宅手当は金銭として支給するのに対して、社宅は住居という現物を提供します。そのため住宅手当は従業員に対する給与という性格を持ちますが、従業員から一定の賃料を徴収している社宅は、必ずしも給与とはならない点で異なります。
従業員の視点でみると、住宅手当と社宅ではどちらがお得になるでしょうか。結論としては、社宅のほうがお得になる場合が多いといえます。これは住宅手当が「給与」として扱われることに起因します。
例えば、家賃の月額が7万円のワンルームマンションを従業員に社宅として提供するケースを考えてみましょう。従業員からは月額4万円の賃料を徴収するケースでは、その差額の3万円が従業員にとっての経済的利益となります。そして、この3万円の実質的な利益には基本的に税金などがかかりません。
これに対して、3万円を住宅手当として給与と一緒に受け取った場合には、従業員にとっての給与所得となりますので、所得税や住民税が課税されます。また住宅手当は社会保険料などの算定基礎にも含まれますので、健康保険、厚生年金保険、労働保険などの保険料も増えることになります。
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執筆=北川 ワタル(studio woofoo)
公認会計士/税理士。2001年、公認会計士第二次試験に合格後、大手監査法人、中堅監査法人にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップ企業の支援から連結納税・国際税務まで財務・会計・税務を主軸とした幅広いアドバイザリーサービスを提供。
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