ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2018.11.28
2019年10月に施行される予定である消費税の新制度に合わせて、複数税率に対応した仕入税額控除ができるように請求書などの記載事項が変更になります。変更は2段階で行われる予定です。前回の記事では1段階目である区分記載請求書等保存方式について紹介しました。今回は2段階目となる、2023年10月1日から導入される適格請求書等保存方式(インボイス制度)について触れていきます。
適格請求書等保存方式に移行した場合は経理処理だけでなく、取引にもさまざまな影響を及ぼすと予想されています。本記事では、適格請求書等保存方式の実務に適応する準備とともに、取引に及ぼす影響についても解説します。
前回の記事で紹介した区分記載請求書等保存方式では、消費税率ごとに記載を区分するため、現行の請求書等保存方式より記載項目が増えます。しかし、区分記載に不備のある請求書などを受領しても、取引事実に基づいて受領側で追記することで仕入税額控除が認められることになっています。また、取引の全てを区分して請求書や帳簿に記載することが困難な中小事業者などに対しては、「税額計算の特例」という計算式で仕入税額控除が行えるといった経過措置も設けられています。
不備のある請求書への追記や経過措置があるのは、軽減税率導入による経理実務の混乱を低減させるという配慮からです。事業者には軽減税率へスムーズに移行してもらうことで、より変化の大きい適格請求書等保存方式への移行時に混乱を低減させようというわけです。
その後、適格請求書等保存方式を導入すると、請求書などへの記載事項に「適格請求書発行事業者の登録番号」と「税率区分ごとの消費税額等」が追加されます。区分記載請求書では「税率区分ごとの合計請求額(税込み)」とされている部分が、適格請求書等保存方式では「税率区分ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)」と「税率区分ごとの消費税額等」に分ける必要が生じます。つまり税率ごとの合計請求額(対価の額)に加えて、それぞれの消費税額も記載しなくてはなりません。
そして、適格請求書では、記載事項に誤りがあった場合、交付を受けた事業者による追記は認められません。その点が区分記載請求書等保存方式と大きく異なります。
さらに適格請求書等保存方式では、現行方式と区分記載請求等保存方式で請求書の発行が免除されていた3万円未満の取引でも、一部を除いて発行義務は免除されません。免除の対象となる取引は、代表的なものとして公共交通機関である船舶、バスまたは鉄道による旅客の運送(3万円未満)、自動販売機・自動サービス機により行われる課税資産の譲渡など(3万円未満)、郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)などに限定されます。
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執筆=伯母 敏子
プロフィール:税理士。大学卒業後、大手リース会社の営業職として中小企業経営者に向けた融資、リース契約、保険の販売等さまざまな金融商品の取り扱いを経験。その後、個人税理士事務所へ転職。平成27年に税理士試験合格。平成28年4月に税理士登録、平成29年11月に伯母敏子税理士事務所として独立開業。現在は新宿区神楽坂にて中小企業の経営、事業承継、法人成り、クラウド会計、経理事務改善の提案等のサポートを通じて中小企業経営者向けサービスを提供している。
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