脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第82回)
ブルーライト対策にはうな重?
公開日:2020.07.20
後継者がいないと事業継承に悩んでいる中小企業経営者も少なくないでしょう。そのような場合は、第三者への事業承継の検討、あるいは事業譲渡といった方法が考えられます。
経済産業省は、中小企業におけるM&A促進のため、「事業引継ぎガイドライン」を全面改定した「中小M&Aガイドライン」を2020年3月31日に公表し、第三者への円滑な事業引き継ぎの指標を提示しています。第47回では「第三者承継支援総合パッケージ」に触れましたが、今回は同ガイドラインを基に、中小企業におけるM&Aについて解説します。
※「中小M&Aガイドライン」→https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001-2.pdf
中小企業経営者がM&Aにちゅうちょする要因として、主に以下のようなことが考えられます。
1. 譲渡側は、M&Aが未経験である場合がほとんどであるため、M&Aに関する経験や知見が乏しく、M&Aの進め方が分からない。
2. M&A支援事業者への報酬は各社さまざまであり、M&A業務の手数料の目安が分かりにくい。
3. M&A支援事業者に対する不信感。
ほかにも、譲渡側は「後ろめたい」「従業員に申し訳ない」というイメージを、譲受側は敵対的買収を行うというイメージを持つためちゅうちょするという声も聞きます。
では、中小M&Aによる譲渡・譲受が成功するとしたら、どういった形が考えられるのでしょう。ガイドラインでは次のケースを例として挙げています。
A. 譲渡会社が債務超過でM&Aが難しいと思っていたが、販路や地域における地名度が高く評価されたためM&Aが成立した。
B. 個人事業主が高齢のため店舗の廃業を考えていたが、創業希望者をM&A支援機関から紹介され事業譲渡が行われた。
C. 後継者がおらず、直近3期の決算は経常損失を計上していたが、丁寧なサービス、教育体制と人材の質が評価されM&Aが成立した。譲渡企業の経営者は株式の譲渡代金と退職慰労金を受け取り、老後資金として十分な額を確保することができた。
上述のように、中小M&Aを実施すると、譲渡側経営者の手元に、代金(譲渡対価)が残ることがあります。また、企業全体としては存続できなくても、利益計上できている優良な事業のみを早期に譲渡することで、一部事業を継続させることができる場合もあります。事業を譲渡して存続させることにより、従業員の雇用維持や、取引先との関係を継続できれば、中小M&Aは地域経済のサプライチェーン維持にもつながるでしょう。
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執筆=並木 一真
税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート。会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。
https://namiki-kaikei.tkcnf.com/
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