ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2021.02.03
今年も確定申告の時期がやってきました。個人事業主やフリーランスの方のみならず、確定申告が必要な方にとっては、確定申告が完了するまでは落ち着かない日々なのではないかと思います。
その不安はどこから来るのでしょうか。脱税などを行っている人は別として、正しく申告している人にとっても、やはり税務署というと怖いイメージがあり、「税務署から何か言われないか」といった不安から来るのだと思われます。
そんな不安を少しでも和らげられるよう、2020年(令和2年)分の確定申告に当たっての留意事項などを解説します。
まず、2020年分の所得税から適用される主な税制改正事項について押さえておきましょう(文字数の関係上、税制改正事項の内容全てを網羅していませんので、詳しくは「国税庁ホームページ」などから確認願います)。
2020年分の所得税の確定申告は、(1)給与所得控除、(2)基礎控除、(3)扶養親族等の範囲、(4)所得金額調整控除、(5)青色申告特別控除など、所得控除についての変更点が多いため、各種控除の適用に当たっては注意が必要です。
2020年11月に国税庁が発表した「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、実地調査(注1)の件数は6万件、簡易な接触(注2)の件数は37万1000件となっています。
これらの合計件数43万1000件のうち、申告漏れなどの非違があった件数は26万3000件となっており、特に実地調査においては84.6%と高い非違割合となっています。
また、これを追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む)で見ると、実地調査による追徴税額は1件当たり166万円となっています。実地調査の対象に選定されるとこれだけのリスクを負うこととなるわけですから、できれば避けたいものです。
注1 「実地調査」とは、資料情報や申告内容の分析の結果、高額・悪質な不正計算や申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して行う調査です。
注2 「簡易な接触」とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡または来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。
そもそも税務調査というのは、提出された確定申告書に不審な点や各種資料情報などから脱税などの不正の端緒を見つけた場合に調査が行われるわけですが、税務署も取引の全てを把握しているわけではありません。申告書や青色申告決算書(収支内訳書)を見ただけで不正などの内容を見抜けるということはありません。
それでは、提出された確定申告書はどのようにチェックされ、どのような事業者が税務調査のターゲットになるのでしょうか。
税務署では、基本的に確定申告書第一表については、計算誤りのあるものを除き、ほとんどチェックしません。所得税調査の選定で注視されるのは、やはり青色申告決算書(収支内訳書)です。売り上げが急増しているのに納税額が増えていない人や特定の経費が急に膨らんだ人などは要注意といえます。要は所得を算出するための「収入」と「経費」を構成しているお金の“入り”と“出”について、過去の申告状況や資料情報などと合わせて検討されます。
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執筆=寺澤 則夫
税理士
(一社)租税調査研究会主任研究員。国税職員時代は税務大学校教授、黒石税務署長、東京国税局調査第四部統括国税調査官、佐原税務署長、浅草税務署長などを歴任。
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