ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2021.11.11
事業を行うに当たっての帳簿や書類は、所得税法や法人税法などの各税法において、帳簿については備え付けて記帳し原則7年間保存、その記帳の基となった書類についても原則7年間保存しなければなりません。原則は紙で保存することになっていますが、紙に代えて電子で保存する場合には、改ざん、修正、すり替えなどが容易で痕跡も残らないため、一定の保存要件の下で保存する必要があります。また、メールなどを通じて請求書をやり取りするなどの電子取引を行った場合は、その請求書などの電子取引情報を一定の保存要件の下で保存しなければならないとなっています。これを定めているのが電子帳簿保存法という法律です。
電子取引を行った場合の取引情報の保存については、所得税(源泉徴収によるものを除く)、法人税の保存義務者が保存しなければなりません。従来は紙に出力して保存すればよかったものが、2022年1月1日以後の電子取引からは、やり取りした電子の請求書などを電子データのまま、一定の要件の下で保存しなければならなくなりました。
2021年9月1日にデジタル庁が発足しました。政府の方針として、社会全体のデジタル化を進め、暮らしを便利に変えていくとともに「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」をめざし、デジタル社会の実現に向けて取り組んでいくとしています。そして、デジタル庁が成長戦略の柱となり、思い切ったデジタル化を進めなければ、日本を変えることができないという決意の下、着実に成果を上げ、日本全体のデジタル改革を進めていきたいとしています。
2021年6月1日に決定された骨太の方針(「経済財政運営と改革の基本方針 2021」)でも、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現するとともに、税体系全般の見直しなどを進めるとしています。適正・公平な課税の実現による税に対する信頼の確保、社会全体のコスト削減、企業の生産性向上などの観点から、適切な所得などの把握のための環境整備、記帳水準の向上、税務手続きの電子化の促進など、制度および執行体制の両面からの取り組みを強化するとされています。
2021年6月11日には国税庁から「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―」が公表され、デジタルを活用した、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直しに取り組んでいく方針を明らかにしました。着実かつ継続的な実施により、国民にとって利便性が高く、かつ、適正・公平な社会の実現に貢献していきたいとしています。
その一環として2021年度税制改正でも大胆な税務手続きのデジタル化が推し進められました。電子帳簿等保存制度の抜本的見直しをはじめとする改正が行われ、2022年1月1日から施行されます。これまでの改正とは明らかに質の違う、デジタル化時代における税務調査、税務行政の在り方に変革をもたらすインフラといえるもので、今後も時代の変化に応じ、税務行政と共に絶えずバージョンアップしていくものです。
制度利用開始に当たっての負担が大きく軽減され、今後もさまざまなデジタル化がスピード感を持って進化し続けると考えられる中、この流れに後れを取らないためにも、今こそ企業経理の電子化を進められる絶好の機会だといえます。
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税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ