ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2023.09.29
税務調査は1年を通じて行われますが、国税当局の新事業年度である7月から12月末にかけては特に調査が厳しくなります。なぜなら、1月になると確定申告シーズンに入り、3月15日まで税務調査に関する動きが鈍くなるからです。また、4月から6月は次年度の人事に関する評価に結びつきにくいため、調査官は年間の調査の目標件数達成に力を注ぎます。この間は調査を長引かせないで早く終了させようとする傾向が強いのです。このため、7月から年末にかけて税務調査の依頼が来たら、心して対応することが肝要です。
法人の税務調査は、「法人税」「消費税」「源泉所得税」および「印紙税」「国際関係」にまで対象が広がりますが、調査では必ず領収書や請求書をチェックします。これらは取引の発生を証明し、取引上の証拠物件としての役割を果たす重要書類ですから、架空・仮装の両面からチェックします。
企業が架空仕入を計上する場合、領収書だけを取引先に作ってもらったり、取引先から用紙だけもらって自前で作成したりする場合があります。この場合、「仕切書」や「請求書」までは作っていないケースが多いため、調査官は領収書や請求書などについて、
・汚れや折り目のない市販の領収書である
・領収書名がゴム印で押されている
・領収者印が摩滅していない
・取扱者印がない
・割り印がない
・発行番号がない
などについて注意深く確認します。
領収書については、仕入先と通謀して架空仕入を計上し、領収書などを偽造している場合もあるため、同一時期に発行された領収書との間に相違する点があるかどうかも入念に確認していきます。
また、棚卸資産も税務調査の重要項目です。多くの企業は商品を仕入れ、または製品を製造してこれらを販売して利益を上げています。売れ残りは在庫として保管します。在庫を含め、製品または半製品などを「棚卸資産」といいますが、当期の売上原価を算出するためには、期首および期末の棚卸資産や仕入高を計算する必要があり、棚卸資産は極めて重要な項目です。
そのため、税務調査では棚卸資産を重点的に確認します。棚卸資産は業種ごとに算出方法が違ってきます。
<製造業>
・材料(直接材料、間接材料の期末残高)、消耗品(梱包(こんぽう)資材、機械修繕部品、未使用金型、燃料等の期末残高)
・仕掛品(期末仕掛中のものについて、仕掛割合に応じて評価)
・製品(出荷または客先検収前の期末残高)
・商品(他から購入した商品の期末残高)
・貯蔵品(スクラップ、パンフレット、印紙等の期末残高)
<卸・小売業>
・商品(他から購入した商品の期末残高)、自社製造の場合は製造業に同じ
・貯蔵品(包装材料、パンフレット、印紙等の期末残高)
<建設業>
・材料(未使用材料の期末残高)
・未成工事支出金(未成工事に係る材料費、労務費、外注費、経費)
*設計関連費用の配賦も必要
・貯蔵品(スクラップ、印紙等の期末残高)
<運送業>
・消耗品(車両修理部品、未使用タイヤ、燃料等の期末残高)
・貯蔵品(スクラップ、印紙等の期末残高)
<情報サービス業>
・未成業務支出金(未成のソフトウエア制作に係る人件費、経費)
・貯蔵品(用紙等、印紙等の期末残高)
製造原価等における棚卸資産の計上は一般的に誤りも少ないですが、売上原価における棚卸資産の計上、特に情報サービス業などの棚卸資産の計上漏れは多く見受けられます。税務調査においては、以上のような点において漏れがないか、適正に処理できているかについて確認します。
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