おひとり様グルメといっても食べるだけではありません。今回のテーマは「ひとり飲み」です。水の都・大阪、土佐堀エリアでこだわりのお酒とアテを提供する「日本酒とワイン せれくと」をご紹介します。
梅田の繁華街から南へ、中之島を越えると市営地下鉄四つ橋線の肥後橋駅があります。土佐堀通と交差するこの付近はビジネス街として歴史が古く、銀行や企業の本支店が立ち並び、小路には周辺で働くビジネスパーソン目当ての店が多く見られます。駅から徒歩約5分、カウンター席だけの空間ですが、ここに固定ファンをも唸らせる日本酒とワインがそろっていることに、きっと驚くことでしょう。
大阪の近・現代に親しむ土佐堀エリア(土佐堀川・土佐堀通)
土佐堀通に並行して流れる土佐堀川は、旧淀川を形づくる6つの流れの1つ。旧淀川とは、その名の通り淀川の旧流で、現在の都島・毛馬から大阪湾にかけての水路が1910(明治43)年、淀川放水路(新淀川)として建設されるまでは本流でした。
土佐堀川といえば、昨年のNHK朝ドラ「あさが来た」の原案本のタイトルとして覚えのある方がおられるのではないでしょうか。中之島を中心に北側の堂島川、南側の土佐堀川が流れるこの一帯が、幕末・明治に始まる大阪の近代化の舞台といっても過言ではありません。周囲には歴史的建造物が多く点在し、「大坂八百八橋」とも呼ばれた水路の景観とも相まって、街歩きが楽しいエリアとなっています。
付近にはビジネスホテルも多く、夜は、きらびやかなネオンに引かれて北新地や梅田など中之島の北側へ繰り出す宿泊客が多いようですが、個性的かつ庶民的な喰い所を求めるなら、ここはぜひ南側の土佐堀近辺をオススメします。
「日本酒とワイン せれくと」が店を構えるのは、土佐堀川にかかる筑前橋から土佐堀通までの筋沿い。席に座れば、気取らない大阪気質とおいしいお酒が気軽に出迎えてくれます。
利き酒師が日本酒・ワインをセレクト…
店を切り盛りするのは、田熊誠史さん。店舗面積は5坪で席数は8席と、非常に小さな店ながら、自ら選び抜いた日本酒とワイン約30種類を取りそろえて提供しています。
店を開く以前は、焼き鳥店や肉料理店などに勤めながら、酒への目利きを養い「利き酒師」の資格も取ったという田熊さん。この土佐堀の地に看板を上げることになったきっかけは、田熊さんが常連客として通っていた店の縁によるもの。
屋号の「せれくと」は、吟味して選んだ日本酒とワインを提供していきたいという熱意と、そのことで顧客から選んでもらえる店づくりをめざしたいという2つの思いを込めて、ともに「厳選」という意味合いを表しているそう。
店内に置かれた日本酒メニューでは、味わいを「すっきり」「フルーティー」「コクあり」の3つに分けて分かりやすく紹介。飲みきりの半合(約90ミリリットル)とたっぷり味わえる一合(約180ミリリットル)で提供しています。価格は、半合で300円台から。他店では目玉になるような銘酒だけを用意しているにもかかわらず、かなりリーズナブルです。中には国内で10店ほどしか取り扱いがないという「作─ZAKU」など仕入れの難しさで知られる銘柄も。利き酒師の面目躍如といったセレクトです。
ワインは「飲みやすい」「バランス良し」「味わいしっかり」と、3つに分けてメニューに掲載。こちらは、グラスを400円台から用意するほか、ボトルで注文することもできます。
あらゆる「ひとり飲み」に対応
お酒へのこだわりだけでなく、フードメニューもすこぶる充実しているのがうれしいところ。日本酒やワインに合う家庭風の総菜がそろいます。これらはいずれも、田熊さんの手作りです。中でも「鶏の肝煮」(540円)と「こだわりポテトサラダ」(432円)は、常連客が必ず注文するという一品です。しっかり食べたい向きには「とろとろ親子丼」(648円)などご飯ものもいくつか。こうなってくると、1軒目の1杯飲みや、飲み会帰りのとどめ飲みはもちろんのこと、ここだけに腰を落ち着けて、お酒とアテで夜を楽しむこともできそうです。
なお来店客の男女比は6対4。女性もぜひ、ドアを開いて大阪ネイティブな土佐堀の夜を、田熊さんや常連客とともに過ごしてみてはいかがでしょうか。
「日本酒とワイン せれくと」
[ぐるなびページ]http://r.gnavi.co.jp/c4xmma6s0000/
大阪市西区土佐堀1-4-2 アリーナ中之島 1階
地下鉄四つ橋線「肥後橋」3番出口より徒歩5分
18:00~26:00(L.O.26:00)
06-6447-5003