「おひとり様グルメ」のシリーズ4回目は、食い倒れの都・大阪を飛び出して神戸へ。ハイカラなムードが漂う港町の路地裏で、洋風の天ぷら・フリッターをアテに一杯とまいりましょう。
神戸は、言わずと知れた港町。幕末の開港以前を遡ると、現在も大きな社殿を構える生田神社(神戸市中央区)に仕える人々が暮らす小さな村だったといいます。
神職・神人の家を表す神戸という地名は全国にありますが、たいていの読みは「かんべ」。「こうべ」は少数派です。いずれも難読地名の部類ですが、もはや「こうべ」は読めない人のほうが少なそうです。
「生田の森」が盛り上がる夜
阪急電鉄・神戸三宮駅の北側に位置する生田神社の周辺は、夜になるとにぎわう神戸屈指の繁華街。
近辺を神社の境内と合わせて「生田の森」と呼ぶことから、お膝元の東門街や北長狭通などでの飲み歩きを「森で飲む」とみやびやかに言うこともありましたが、それも今は昔。阪神・淡路大震災で壊滅的な被害を受けて、様変わりが大きかったエリアです。
もともと神戸らしさを感じさせる店が多かったこのエリアも、震災後は全国チェーンの看板が目立つようになり、個性が失われかけていた時期もありました。そんな中、近年は、神社にも程近い戦前からの目抜き通り・トアロードから一歩入った路地裏に当たる「トアウエスト」「トアイースト」と呼ばれるエリアなどへ、個性的な飲食店が集まり始めています。
洋風天ぷら「フリット」を食べさせてくれる腰掛け式のスタンド店「コロモ」もその1つ。トアロード東側の「トアイースト」に店を構えて3年になります。
揚げ物好きの関西人にも珍しい味「フリット」…
フリットとは、味付きの衣で揚げる洋風天ぷらのこと。同じ揚げ物でもフライのようにパン粉を使わずふんわりと揚げるメニューです。ハイカラ好きの伝統がある神戸でも、なかなかお目にかかることができない珍しさです。
「フリットは、確かに珍しい」と店長の粟飯原達雄さん。「本場のヨーロッパで食べると『ボテッ』とした衣が多いと聞くが、当店の衣は工夫を重ねた独特のもの。しつこさをほとんど感じさせない『薄揚げ』なので、油分を気にしがちな女性にも安心して食べてもらえる」と胸を張ります。
すなわち屋号の「コロモ」は、粟飯原さんらが編み出した揚げ衣への自信の表れといったところでしょうか。
開店当初から力を入れているのは、野菜を揚げたフリット。近郊農業が盛んな神戸市西区から仕入れた季節の野菜を使う「おまかせ野菜のフリット盛り合わせ」(550円~)は定番の位置づけです。
ガッツリ派には、ハニーマスタードソースなど3種のソースが選べる「骨付き豚スペアリブのスパイスフリット」(レギュラー980円、ハーフ500円)もお薦め。テークアウトには、これも開店当時からの人気を誇る「名物!玉子サンド」(レギュラー500円、ハーフ280円)や「大きなエビ天むす」(3個500円、1個180円)があります。
ドリンクは、ワイン(グラス580円~、ボトル3500円~)を中心に、ビール(500円~)やハイボール(500円~)など。予算は2500円程度といったところです。
駅近・宿近で女性おひとり様にも安心
ところで関西の揚げ物といえば、代表格は串カツ(串揚げとも)。食べるところの大半が衣とはいうものの、二度漬け禁止のソースで味わう独特の味わいや、カウンターで一杯引っかけながら楽しむ関西らしさが、関西外から訪れるビジネスパーソンにも人気です。
串カツとは一線を画すフリットを提供するコロモでも、ざっくばらんな店内の雰囲気は、やはり関西らしいところ。とはいえここは神戸ですから、壁も床も会話の内容も「ベタベタ」を感じさせずスマートです。
粟飯原さんは「カウンター越しの会話でお客さまをもてなしたいと始めた店。初めての『おひとり様』には、様子を見ながら声を掛け、神戸の夜を楽しんでいただきたい」と自信をのぞかせます。
立ち働くスタッフには女性の姿も。最近、増えているという女性の出張客にも敷居の高さを感じさせないところも、女性が憧れる街・神戸らしさでしょうか。
この周辺エリアは駅にも近く、夜間も人通りが絶えることがありません。主なホテルが集中する三宮・元町・北野からは、いずれも徒歩圏内というのもうれしいところですね。
「スタンド コロモ」
[Facebookページ]https://www.facebook.com/スタンド-コロモ-397027100406603/
神戸市中央区北長狭通2-4-8 藤本ビル 1階
阪急「神戸三宮」西口、地下鉄「三宮」より徒歩3分
JR「三ノ宮」西口、阪神「神戸三宮」西口、JR・阪神「元町」東口より徒歩5分
18:00~27:00(L.O.26:00)
※土曜・日曜・祝前日は17:00~
078-322-3268