岡山駅は、西日本屈指のターミナル駅です。新幹線を筆頭に、倉敷へ向かう山陽線や出雲へ向かう伯備線、海を渡って四国へ向かう瀬戸大橋線などが乗り入れており、人口72万人を抱える岡山市の中心駅となっています。
岡山駅を東口(後楽園口)へ降りると出迎えてくれるのが、岡山を代表する桃太郎像。誰でも知っている昔話の主人公として有名です。像の先には「桃太郎大通り」。大通りの真ん中にある停留所に見えるのは路面電車。頻繁に発着する電車に乗って、わずか1区間。「西川緑道公園」で下車し、東南へ歩いて1分で、今回ご紹介する「酒囲屋本店」にたどり着きます。その名の通り、卓を囲んで地元の幸が味わえると評判の人気店です。
地元の人も通う炉端海鮮「酒囲屋本店」
4~5月は、本当においしい瀬戸内の魚が水揚げされる季節。気候も良く、路面電車で向かう人のほか、岡山駅から15分ほど歩くだけでのれんを見つけることができます。いつもは乗り継ぎで降りたことがないという忙しいビジネスパーソンも、ぜひ気分を変えて立ち寄ってみてください。素通りしてしまうには惜しいほどの美味に舌鼓を打つことができるでしょう。
昼間は静かなこのかいわいは、夜になるとにぎわう料飲街。酒囲屋本店は、早い時間から地元の人が行列をつくることもある人気店ですから、予約しておくと安心です。
店の正面は、城下町によく見られる間口の狭い造り。店内へ一歩踏み入れると、奥までずーっと延びる通路の両側に、カウンター席とテーブル席が並びます。カウンター席には板場の職人が、さまざまな魚を次々とさばく手際の良さを見ることができる席もあります。
メニューの「時価」には理由アリ…
席に着いて驚かされるのは、メニューに価格表記がないことかもしれません。魚種が豊富な瀬戸内海では、季節や天候によって水揚げされる魚が毎日のように変わりますから、「1つひとつメニューに書いていられない」と店のスタッフは話します。その日の魚を、その夜のうちに。効率を考える店なら提供を面倒がることもあるという型の小さなアジやメバル、カサゴ、タナゴも刺し身や焼き物、煮物で提供しています。注文のとき、予算に合わせて食べたい魚を伝えておくといいでしょう。3000円~5000円のコースメニューでは、その日オススメの魚とともに焼き鳥などの肉料理も味わえます。
刺し身焼き物、煮物、いずれも絶品
この日のオススメは「サワラ」「メバル」「シャコ」。サワラは刺し身、メバルは煮物を注文しました。シャコはむき身の他に、少し時間はかかりますがゆでたてを選ぶこともできます。
春の魚と書く「鰆(サワラ)」はまさに旬のもの。刺し身プリプリとした食感で、新鮮さの証しでもある薄桃色の見た目が食欲をそそります。新鮮なほど煮崩れしやすいメバルは、口に運ぶ途中で骨から身が外れていました。「新し過ぎてごめんなさい」というスタッフの言葉にも納得です。
しばし待って、シャコが登場。むきやすいようにと、頭を残してハサミが入れてありました。殻をめくるとスルリと身が離れるのも新鮮さの証明。春は産卵の季節なので、ほとんどのシャコがホロホロとした味わいの卵を抱いているうれしさでした。
3品に合わせたのは、瀬戸内海に面した浅口市の地酒「喜平」の熱燗1本。本日の支払いは2500円ほど。わずか30分余りのサッと飲みでしたが、季節を変えてまた訪れたくなりました。ブラブラと歩いて岡山駅へ戻ると20時。周辺にはビジネス向けのホテルも多数ありますが、新幹線なら新大阪や博多はもちろん東京行きの最終のぞみ(20時36分発)にもまだ間に合う時刻でした。
ろばた日和 酒囲屋本店
http://www.sakaiyahonten.com/岡山市北区平和町1-14-1F
路面電車「西川緑道公園」より徒歩1分
JR「岡山」後楽園口より徒歩15分
17:00〜24:00
日曜定休
086-226-0737