出張の機会にグルメ探訪を思い立ったとき、ついつい期待を高めてしまう都市の1つが福岡です。代表的な歓楽エリアの中洲や川端はもちろん、福岡空港に近い博多エリアや、国内でも有数の発着数を誇るバスターミナルがある天神エリアなどには、ビジネスパーソンの食い気をそそってやまないメニューがあふれています。
今回は福岡の屋台や飲食店でよく出合う豚足料理を紹介しましょう。
あえて焼かずに煮込みで勝負「釘本食堂」
豚足には独特の匂いがあり、それを苦手という人が一定数います。ラーメンに使う豚骨スープの匂いには慣れている人が多いはずの福岡でも「焼いた方が匂わない」「脂が落ちてアッサリする」と、食べるなら焼きとん(下ゆでした豚足のあぶり焼き)を好む傾向が見受けられ、東南アジアや台湾、沖縄ではよく食べられている「煮込み豚足」を提供する店は少数派です。
今回、訪問したのは少数派の煮込み豚足を提供する店。博多エリアの呉服町駅近くにある「釘本食堂」です。台北への旅行で本場の味にほれ込んだという店主の釘本健さんが、煮込みひと筋で2015年から営んでいます。焼きとんが優勢な福岡で、ランチタイムには煮込み豚足を求めて連日満席という繁盛ぶりを見せています。
店内のインテリアは、黒が基調。カウンター席が15席と4人掛けのテーブル席が12席あります。
ビジネス街の一角にあるマンションの1階で営む釘本食堂。「極上豚足」のちょうちんが揺れる
4本で480円の豪華な一皿
ランチタイムの行列が収まるのを待って、ようやく入店の運びに。メニューを開くと、豚足は480円(標準4本)とあり、テークアウトもできます。
売れ筋は、終日にわたって提供している2つの定食メニューです。豚足A定食(700円)には豚足(同4本)とライス、みそ汁、漬物にゆで野菜が付きます。豚足B定食(880円)は、A定食に煮卵・厚揚げをプラスした内容です。今回は、B定食をオーダーしました。
メインディッシュの豚足は、AB両定食で共通
うまみを煮出した後、浸透圧を利用してうまみを戻す調理法…
早速、箸を取ってみましょう。豚足のぷるんと揺れる皮に箸を入れると、スッと奥へ入ります。さらに奥へと箸を入れると、骨がポロリと身から外れてくれました。豚足といえば、焼きでも煮込みでも骨もろともむしゃぶりつくようにして食べるスタイルが一般的だけに、この柔らかさは衝撃的。手や口の周りを汚すことなく、キレイに食べ進めていくことができます。
調理に使う調味料は、しょうゆと砂糖に台湾仕込みの香辛料が少々。いずれも豚のうまみをしっかり味わってもらおうと、濃からず薄からずのアッサリした味付けです。
釘本さんは「豚足は、煮込むとうまみが煮汁へ移ります。そこへ適量の調味料を加えてやることで浸透圧を作用させ、豚足へうまみを戻してやるという調理法です」と話します。
二度おいしい!副菜にも豚足のうまみ
「付け合わせの煮卵と厚揚げも豚足の煮汁で調理しています。豚足のうまみを余すことなく味わってもらおうと、味が染み込みやすい食材を選んで卵と厚揚げに落ち着きました」(釘本さん)
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豚足のうまみが染み込んだ付け合わせの厚揚げと煮卵とゆで野菜[/caption]
ゆで野菜のキャベツやモヤシにも煮汁をからめつつ、箸を忙しく行き来させているうちに、もっとライスを食べたくなりました。すかさずお代わり(50円)を追加します。
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定食のライスは量が少なめ。大盛りは無料。お代わり(50円)も[/caption]
「実は、当初のもくろみ以上に女性客が多く、ライスの量は控えめにしています。豚足はコラーゲンやビタミンBが豊富な食材。そこを食べやすく調理しているところが受け入れられたようです」と釘本さん。「常連客には、台湾からの留学生の姿もあって、みなさんが本場と同じ味だと喜んでくれます」とも。
福岡で豚足通を目指すなら、同店の煮込みをぜひ。ワイルドさが身上の焼きとんとは一味も二味も異なる豚足の新境地を語れるようになること請け合いです。もちろん酒と合わせるもよし。生ビール(中ジョッキ=480円)や台湾ビール(1本=同)、芋焼酎・黒霧島(グラス=380円)や麦焼酎・至福の陶酔(同=580)円などがあります。
※文中にある金額はすべて税込み価格です
釘本食堂
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400106/40038711/
福岡市博多区店屋町6−29 リバーサイド博多1階
地下鉄箱崎線「呉服町」1番出口徒歩3分
11:30~22:00
日曜・祝日定休
092-291-2022