スマートスピーカーとは、マイクに向かって話しかけると、音楽を再生したり、ニュース、天気、スケジュールなどの情報を読み上げたり、質問に答えたりする「賢い(スマートな)スピーカー」のこと。家電やホームオートメーションの操作、通販サイトでの商品の購入、ピザの注文やタクシーの配車なども行える。
米国では、2014年にアマゾンが「Amazon Echo」を発売したのを皮切りに、グーグルやアップル、マイクロソフトといった世界をけん引するIT各社が、自社の音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーを、発売もしくは開発中だ。そのスマートスピーカーが今秋、いよいよ我が国にも上陸した。
AIを備えたスピーカー
米アマゾンの「Amazon Echo」の商品ページ
無線通信機能とAI音声アシスタント機能を備えたスマートスピーカーは「ホームアシスタント」とも呼ばれる。声を掛けると、秘書のようにさまざまなサポートをしてくれる。米国ではすでに1000万台以上を売り上げ、約1割の家庭が所有するという。
基本的に、SiriやGoogleアシスタント、Cortanaなど、スマホやパソコンで親しみのある音声アシスタントがスピーカーに入っていると思えば分かりやすい。スピーカーに向かって「OK、グーグル!」と話しかけ、続けて「明日の天気は?」「○○について教えて」「今日のスケジュールは?」と質問する。すると質問に答えてくれたり、ジャンルやアーティスト、曲名などを言うことで音楽を流してくれたりする。アラーム設定や予定の通知はもちろん、家電や照明、シャッターなどの操作を行ったり、商品を購入したり、タクシーを配車したりなども可能。家族みんなが重宝しそうだ。
スマホの次!? スマートスピーカー…
スマートスピーカーを開発する各メーカーは、それぞれ音声アシスタントに対応した開発キットを提供する。サードパーティー各社が自由にアプリを開発できる環境を提供すれば、さらなる機能や対応機器の追加が期待できるからだ。ゆくゆくは家庭の秘書として、家の中のあらゆる機器のコントロールをする役割を担う可能性が高い。参入企業も続々と増える。「スマホの次」と注目されるカテゴリーだ。
日本におけるスマートスピーカーの展開は、日本語への対応待ちで、ほかの国よりもタイミングが遅れてきたが、グーグルのスマートスピーカー「Google Home」が、先日、ついに日本でも発売された。なお、アマゾンのAmazon Echoも、2017年内に日本で展開することが発表されている。
そもそも2014年11月に米アマゾンが人工知能「Alexa」を搭載したAmazon Echoを発売、16年のスーパーボウルでの広告が注目され、米国内で大人気となった。現在、約70%のシェアを誇る。現在、連携する他社サービスは1万を超えるといわれている。
Google Homeは、音声を使って音声アシスタント「Googleアシスタント」を呼び出す。自然言語処理と音声認識技術により、声を聞き分ける「ボイスマッチ」機能が特徴だ。例えば「今日の予定を教えて」と聞くと、予定を告げてくれる。Google Homeという名の通り、各部屋のスピーカーと連携し、家全体のコントロールをめざすという。筆者は発売と同時にこのGoogle Homeを入手したが、音声でのコントロールはなかなか興味深い。ただし、決まりきった形式以外の質問などに対して、応答はまだまだという感じで、今後のアップデートが期待される。
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筆者のもとに届いたGoogle Home[/caption]
Siriを搭載したアップルの「HomePod」は未発売だが、音声での呼びかけに加え、iOSとの連携も可能とするようだ。Apple Musicでのユーザーの好みから、新しい音楽を発見する手助けをし、自動室内感知テクノロジーで室内での位置を感知して自動的に音を調節する。音響機器としての工夫も凝らされているという話だ。
マイクロソフトの「Microsoft Harman Kardon Invoke」は、Windows10に入っている「Cortana」を搭載。2017年秋に米国で発売予定なので、日本での発売はまだ先になりそうだ。LINEが開発する「Clova Wave」は8月から先行販売が開始され、先日、正式に発売された。通常のスマートスピーカーの機能のほか、シェアNo.1のメッセンジャーであるLINEのメッセージを聞いたり、音声でメッセージを送ったりなど、LINEのコントロールができるのはなかなかのメリットといえる。
ほかにも、スマホやロボット型掃除機に「エモパー」という音声対話型AIを搭載してきたシャープも、スマートスピーカーを開発中だという。パナソニックやソニーもGoogleアシスタントを搭載したスマートスピーカーを発表、オンキョーがAlexa搭載のスマートスピーカーを米国で発売するなど、日本企業の今後の追い上げも楽しみだ。しゃべるだけで家全体がコントロールできるSF映画に描かれる“未来生活”が近づいている。