昨年末に行われた「PayPay」の“100億円あげちゃうキャンペーン”。内容は、決済の20%を還元、さらに抽選で全額還元(上限10万円まで)だった。期間は4カ月に設定されていたものの、還元額が100億円に達したら終了とされていたため、わずか10日でキャンペーンが終了した。
なぜこんな事態になったかというと、還元額の上限は1カ月5万円だが、1回当たりの上限が設けられていなかったからだ。つまり1回で5万円という高額還元が可能。この点に目を付けたユーザーがこぞって利用し、あっという間に上限に達したというわけだ。
これに学んでか、2月12日から始まった100億円キャンペーン第2弾は、1回の支払いにおける還元額の上限を1000円相当に、還元額は期間中5万円相当までと変更された。さらに、支払い方法により還元率が異なるよう変更。「くじ」は当選率が引き上げられた一方、1回当たりの当選額が最大1000円相当に変更されるなど、全体的に細かい調整がなされた。
第1弾に比べて「渋くなった」と言われたが、使ってみて思うに、5000円以下の細かい買い物がおトクになる仕組みゆえ、日常的なコンビニやドラッグストアの買い物に、「小さな幸せ」を感じ、またPayPayで買い物したくなって、PayPay対応のお店に向かってしまう。キャンペーンが長く持ちそうなのと、スマホ1つでOK、お金を下ろす手間いらず、履歴や残高がすぐ分かるなど、スマホ決済の利点をその都度実感させられて、これは一定の効果がありそう、と筆者は考えている。
PayPayはYahoo!ユーザーに有利、「楽天ペイ」は楽天会員、「d払い」ならドコモユーザー、というふうに、決済サービスにはそれぞれ有利なユーザーやジャンルがある。今まで乗り遅れた人は、自分が普段どんなサービスや店を利用しているかでサービスを見極めるとよい。
そうそう、スマホ決済はクレジットカードを持っていない、または持たない主義の人でも使えるものがある。銀行口座を登録すれば、千円単位でチャージできる。チャージ制なので使い過ぎて困ることもない。その場合は「銀行からのチャージ機能を備えたサービス」を選ぼう。ほかにもクレジットカード、プリペイドカード、レジ・ATMでのチャージに対応したサービスもある。
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「LINE Pay」のチャージ機能は多くの手段を選べるのが特徴。クレジットカードを持たない層や現金派にも優しい。友だちに送金できる機能もユニークだ[/caption]
スマホ決済サービスは、携帯キャリア系、銀行系、それからキャッシュレス決済専門系、Webサービス系に分類される。携帯キャリア系のNTTドコモのd払いは、決済した買い物の支払いを月々の携帯料金と合算して払えて、手間いらず。決済でdポイントが上乗せでたまるのもメリットだ。
銀行系は「ゆうちょPay」「りそなPay」「みずほWallet」「はまPay」「YOKA!Pay」などがある。常用する銀行があれば、導入を検討してもいいだろう。
キャッシュレス決済専門の「Origami Pay」は、国内でいち早くQRコード決済を提供したサービスだ。対応店舗が多く、クーポンが充実しているのが特徴。
最近多くなってきたのが、Webサービス系のスマホ決済。それぞれ個性豊かな内容がユニークだ。楽天が行う楽天ペイは、スマホ決済を行うと、楽天ポイントが上乗せされる。もちろんためたポイントも決済に使える。「メルペイ」ならメルカリの売り上げが使える。PayPayの買い物ではTポイントがさらにたまる。LINEが行う「LINE Pay」は、PayPayと同時期に20%還元を行い話題になった。銀行口座やコンビニで残高をチャージでき、友だちへの送金にも対応。クーポンやキャンペーン情報、利用履歴などがLINE上で閲覧できる。コミケ(コミックマーケット)で使える「pixiv PAY」もユニークな存在だ。
今後、「7Pay(セブンペイ)」、「ローソンスマホペイ」、「ヨドペイ」など、チェーンや店舗の決済サービスの提供もアナウンスされている。店ごとのポイントカードがスマホアプリに代わるケースも多い昨今、決済もアプリで…となる流れは間違いないだろう。さらに参入企業も増え、「戦国時代」になりそうだ。
サービス乱立の時代、ポイントをためるにも、管理を煩雑にしないためにも、使うサービスをなるべく絞るのは基本だが、サービスごとにターゲット・ユーザーも利用できる店舗も異なるこの状況では、複数のサービスを併用せざるを得ない。そうすると利用履歴もそれぞれのアプリで確認が必要。それぞれの残高管理も大変になる。せっかくの便利なサービスが重荷になるのでは本末転倒だ。
願わくは、乱立するサービスが提携などで一本化し、1つのアプリで何もかもが済むようになればいいな、と思う。ごくたまに利用する店舗に対してアプリを導入するのは面白くないが、おトクを逃すのももったいない。たくさんのサービスに、自分の銀行口座やクレジットカード情報をばらまくのもリスクが高い。乱立すれば、撤退するケースもあり得る。
目先のおトクだけでなく、ライフスタイルや将来も見据え、サービスを選びたい。店舗側も、ユーザーの動向をうまくつかんで、売り上げアップに励んでいこう。
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