ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2021.04.12
去る3月17日、肝の冷えるニュースが飛び込んできた。日本人の7割近くが利用するメッセージアプリ「LINE」が、中国の関連会社に開発を委託し、技術者たちがサーバー上の個人情報にアクセスできる状態にあったのが判明した。さらに続報で「トーク」に投稿されたすべての画像と動画が韓国内のサーバーに暗号化せず保管されていることも分かった。これについてはLINEにアップロードした個人の保険証などのデータも含まれていたという。
実際に不正アクセスや個人情報の漏えいがあったわけではないものの、以前から「韓国や中国のサーバーにデータが送られている」とささやかれていたのはほぼ事実ということになる。中国での業務委託と情報アクセスに関しては、民間企業に国の情報活動への協力を義務付ける中国の国家情報法との関連を問題視する向きもある。どちらにせよ日本の法律の届かないところで、越境したLINEのデータがどう扱われていたかを考えると怖い。
この報道に対して、LINEは「ユーザーの個人情報に関する一部報道について」でリリースを発表。ユーザーの個人が特定できる情報は、今後、原則として国内のサーバーで安全に管理すると伝える一方、一部の個人情報について説明が不十分だったと認めた。
これを受けて武田総務相は3月19日、総務省でのLINEを使った採用活動、意見募集や利用者への問い合わせ対応などの行政サービスの運用を停止すると述べ、関係省庁とも連携し、事実関係を把握して適切な措置を講じる考えを示した。さらに職員に対し、LINEをはじめとする外部サービスの利用に際し、業務上の情報を扱わないよう注意喚起を行った。
地方自治体では住民の利便性向上や業務効率化のため、保育所の入所申請、住民からの各種相談、粗大ごみの収集申し込みなどでLINEの活用が進む。全地方自治体に対して状況を報告するよう依頼した。地方公共団体の情報セキュリティ対策を支援する総務省としても、適切に対応したいとの考えを示した。
なお、報道を受けて、申請時に免許証など画像を送る必要のあるLINEの行政サービスを自主的に停止した自治体もある。さらに、ワクチン接種の受付にLINEを利用する予定だった自治体も、安全性が確保されるまでサービスを行わない指針を示した。
実際、首相官邸や厚生労働省の新型コロナウイルス感染情報をはじめとする政府関連のLINE公式アカウントは、更新が止まっている。警察庁の公式アカウントには「当面の間、運用を停止しております」と記されている。
総務省は「LINEに対する報告徴収」として、利用者情報の管理の状況などについて電気通信事業法の規定に基づき報告するよう求めた。さらに、個人情報が適切に管理されているかを監督する個人情報保護委員会もLINEに報告を求めたほか、立ち入り検査も行った。
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執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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