最近、Twitterで「#midjourney」というハッシュタグでイラストをアップしている人をみかける。イラストはどれも精巧でクオリティが高い。調べてみると、「Midjourney(ミッドジャーニー)」という、ユーザーの文字情報に基づいてAIが画像を生成してくれるサービスだ。あまりに美しいので、筆者もやってみたくなった。
有料プランの場合、生成した画像は基本的にユーザーの所有とされ、商用利用もOKだ。ただし、年間総収益が100万ドルを超える会社またはその従業員で、会社の利益のために利用する場合は年600ドルのコーポレートプランへの加入が義務付けられている。無料で生成した画像の権利はクリエイティブコモンズライセンスに基づく。
基本的な操作はトップページの「Getting Started」を押して開く「Quick Start Guide」に従う。利用方法は、Midjourneyのトップページで「join the beta」を押し、チャットサービス「Discord」の招待を受ける。Discardの「Midjourney」で「NEWCOMER ROOMS」の「newbies」のどれかに入る。入力欄にコマンド(/imagine)を入れ、内容を文字入力する。内容は基本英語だが、日本語もOK。
しばらくしてAIが4パターンの絵を表示する。絵の下に9個のボタンがあり、左上が1、右上が2、左下が3、右下が4となる。「U●」のクリックで、指定した画像を高解像度で生成、「V●」のクリックで、指定した画像を基礎に再び画像を生成する。右上の再読み込みボタンで、すべてを新しく生成できる。
筆者、適当なテーマで4つの画像を生成、気に入った1つを「V」ボタンで高解像度にて生成した。すると下にボタンが現れるので、バリエーションの作成や最大にアップスケールするなどを行った。これらを繰り返して、自分の気に入ったイメージを生成する。なお、「Web」のクリックで、自分が今まで作った画像を閲覧できる。
[caption id="attachment_46688" align="aligncenter" width="600"] ※筆者がトライアルとして生成した画像[/caption]
AIによる画像生成サービスが続々開始。商用利用もOK
TwitterやInstagramで皆の自信作を見ると、自分のはまだまだだな、と思う。内容指定や、再生成など、コツはたくさんありそうだ。
この他にも「内容を文字で指定してAIが画像を生成する」サービスが今年になって続々開始され、2022年は「画像生成AI元年」とも呼ばれる。Googleはテキストから画像を生成する「Imagen」を発表、4月にアメリカのOpenAIがリリースした「DALL・E2」も話題だ。
8月に英国のStability AIが公開した「Stable Diffusion」のデモ版「Stable Diffusion Demo」が公開され、やはりクオリティの高さに加えて商用利用可能ということで、話題となった。
「Stable Diffusion Demo」の下に表示されたサンプルをクリックして生成してみると、Midjourneyとはまた違った感じになる。LINEのトーク画面を使いAI画像生成で遊べる「お絵描きばりぐっどくん」は、Stable Diffusionを利用したサービスなのでこちらで試してみるとお手軽だろう。
今後AIはどうなっていくのだろうか
AI画像生成システムの元となっているのは「GAN(Generative Adversarial Network、敵対的生成ネットワーク」)」という技術だ。「偽物を作り出す悪人(Generator)」と「本物かどうか見破る鑑定士(Discriminator)」という2つの役割をネットワーク内に組み込み、競争させる形で学習させるため、放っておいても学習が進む。
今年8月、アメリカのとある品評会で、Midjourneyによって生成されたデジタルアートが1位を取ったニュースが話題となった。画像生成AIは画家やイラストレーターの仕事を奪う、という指摘もある。ただ、「作品を作りたい」というインスピレーションを抱くのも人間、作品として整えて世に送り出すのも人間、作品を見て心を動かされるのも人間だ。画像生成AIは、あくまで人間のアートやクリエイトを助ける「画材」「手段」の1つと考えたいところだ。
1つの例として、日本のRADIUS5が8月29日にベータ版をリリースしたAI画像生成サービス「mimic」を考えたい。これはAIを活用して描き手の個性が反映されたイラストメーカーを自動作成するもので、30枚以上のイラストがあれば、オリジナルのイラストメーカーが作成可能だ。
これはクリエイターのためのサービスなのだが、悪用の可能性があるとの指摘が相次いだ。クリエイター以外の第三者でもイラストを用意さえすれば簡単に使えてしまうからだ。この指摘によって現在、正式版公開に向けてサービスの改善中という。精巧な画像を生成するのはAIではあれ、一人ひとりの人間性やその使い方によってAIの存在は良くも悪くもなってしまうことを意識したい。
各種サービスの利用に際しては、規約を理解し、ルールを守ることはもちろん、著作権法など各種法律について情報収集を行い、注意を払って使う必要がある。そして誰かに迷惑や不愉快な思いをさせぬよう良識と常識を心がける。この積み重ねが、AIを活用した各種の技術との向き合い方にもつながってくるはずだ。
筆者がMidjourneyで作った画像をSNSなどで公開したところ、多くの「いいね」をいただいた。絵心のない筆者でも自分なりにアート作品が作れそうで、なかなかうれしい。今後も、常に最新の情報をチェックして、新しい技術に臨みたい。