ニューノーマル処方箋(第44回)
医療機関を狙ったサイバー攻撃が増加中。どう防げば良いのか?
公開日:2023.12.28
このコラムで6月に「日本政府、AI戦略に本腰。G7での結果など」という記事を書いた。そこでは、5月に開かれた「G7広島サミット」にて生成AIについての議論が行われ、閣僚級による議論の枠組み「広島AIプロセス」において国際的なルール作りを進めることで各国合意したことを紹介した。
2023年は生成AIの年、ともいえる。いいも悪いも、生成AIは世の中に大きな変化を与えた。今年も終わろうとしている今、「広島AIプロセス」はどうなっているのか、AIに対する国際的なルール作りはどうなっているのか、状況を見てみよう。
「G7広島サミット」における首脳宣言では、「我々は、信頼できるAIという共通のビジョンと目標を達成するためのアプローチと政策手段が、G7諸国間で異なり得ることを認識しつつも、AIガバナンスに関する国際的な議論とAIガバナンスの枠組み間の相互運用性の重要性を強調する」、そして「我々は、関係閣僚に対し、生成AIに関する議論のために、包摂的な方法で、OECD及びGPAIと協力しつつ、G7の作業部会を通じた、広島AIプロセスを年内に創設するよう指示する」とある。
10月のG7首脳においては「広島AIプロセスに関するG7首脳声明」が発出された。これは、9月の「広島AIプロセス閣僚級会合」にて、G7広島サミットから年末までの中間的な取りまとめとして出された「G7広島AIプロセス G7デジタル・技術閣僚声明」をベースに、「AIのための包摂的なガバナンスの形成をめざした」ものだ。この声明には「広島AIプロセスを更に前進させるための作業計画を年末までに策定する」「11月1日と2日の英国のAI安全性サミットに期待する」とある。
また、声明とともに、AIシステム開発者のための、高度なAIシステムを開発する組織に対する「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」や「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」が出された。この国際指針・行動規範では「AIライフサイクル全体にわたるリスクを特定、評価、軽減するため、導入前に適切な措置を講じる」「導入後の脆弱性やインシデントを特定して緩和する」「AIシステムの能力、限界、適切・不適切な使用領域を公表、十分な透明性の確保を支援する」「電子透かしなど、ユーザーがAIが生成したコンテンツを識別できるようにする」「個人データおよび知的財産を保護する」など、11の原則(両者とも項目は同じ)が示されている。
そして、前述した英国での「AI安全性サミット」には、岸田首相がオンライン形式で参加し、「広島AIプロセス」において、国際的なルール作りに取り組んでおり、グローバルなAIのルールの共通の基盤となると確信していると述べた。さらに、10月の首脳声明および国際指針、国際行動規範を紹介しつつ、年末にかけて「広島AIプロセス包括的政策枠組」の策定に向けた作業を加速させるとともに、「広島AIプロセス」は「AI安全性サミット」の取り組みとも相互補完的であるとし、引き続き密に連携していきたい、としている。
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執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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