脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第82回)
ブルーライト対策にはうな重?
公開日:2024.07.18
20年ぶりに新紙幣が発行された。福沢諭吉が描かれた1万円札などの紙幣にはなじみ深く名残惜しいものの、「渋沢栄一1万円札」を始めとする新紙幣3種類も楽しみだ。2024年7月3日の発行なので、すでに手にしている人もいるだろう。概要は国立印刷局の「新しい日本銀行券特設サイト(「2024年7月3日 お札が変わります」)」や、政府広報オンライン(「2024年7月3日、新しいお札が発行!」)がわかりやすい。
先述のとおり新1万円札には「生涯において500もの企業設立などにかかわり、“日本近代社会の創造者”と言われる渋沢栄一」が肖像に採用されており、新5000円札には「生涯を通じて、女性の地位向上と女子教育に尽力した教育家、津田梅子」が採用されている。そして、新1000円札については「破傷風を予防・治療する方法を開発した細菌学者で、「近代日本医学の父」と呼ばれている北里柴三郎」が採用されている。
新紙幣へのワクワク感はあるものの、私たちがまず感じるのは「なぜ新紙幣を発行するのか」という疑問だ。これらは特設サイト「改刷に関するよくある質問にお答えします」にまとめられている。これによると、「改刷」とは「お札の絵柄、デザインを変えること」であり、「なぜ改刷をするの?」という質問には「にせ札、つまり偽造を防止するために新しい偽造防止技術を加え、デザインも一新」、そして改刷の周期は「だいたい20年ごと」と説明されている。こうした政府の新紙幣関連情報において、改刷の大きな目的は「偽造防止」と明記されている。
確かに、20年間同じ紙幣が使われていれば、精巧な偽造紙幣を作成する十分な時間もあるし、用いられているのが“20年前の技術”というと、セキュリティ的に問題があるのは明らかだ。これらを払拭しつつ、さまざまな国際事情なども考慮したのが今回の新紙幣となる。
そして、今回の発行に当たっては前回の「発表から発行まで2年」という短さに比べ、5年という準備期間が設けられている。では、紙幣を扱う自動販売機や両替機、精算機、ATMなどの新紙幣の対応状況はどうなっているのだろう。気になるところだ。
財務省調査などによれば、5月時点でATMや金融機関向け機器、鉄道事業者やバス事業者の券売機、スーパーマーケットの釣り銭機などはおおむね8~9割の対応が進んでいるという。主な理由は、ソフトウエアの更新で新紙幣に対応可能な機種が主流となっているから、だそうだ。
その反面、飲料用の自動販売機や、飲食店の券売機、駐車場などの精算機などハードウエアの一部や全部を取り換える必要のある機器では、対応が遅れ気味だという。これらは硬貨主体の利用のものもあり、新紙幣未対応でも影響は小さいという見方もあるが、新紙幣対応ハードウエアの供給不足もあって対応完了まではまだ時間がかかると目されている。
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執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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