テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第4回)従業員を危険から守る「バイタルデータ」の活用

IT・テクノロジー ヘルスケア

公開日:2016.09.29

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 季節は夏から秋へと変わりました。多少涼しさも感じる日が増えたとはいえ、社外での仕事はつい頑張り過ぎてしまうと、熱中症の危険はまだまだつきまといます。

 熱中症にならないためには、水分や塩分を取ったり、必要な時には日陰で休んだりすることは常識です。しかし、どのタイミングで休息を取れば良いのか、その頻度や基準は分かりづらいものです。

 しかし近年、テクノロジーを活用し、仕事中の熱中症を予防するシステムが、各社から次々と開発されています。それは一体どのような仕組みでどのように見えないものを見ているのでしょうか?

現場作業員の命を守るテクノロジー

 炎天下での作業が多い建設業では、作業員の健康管理が切実な課題です。2014年には6人が建設作業中に熱中症で命を落としました。

 そんな中、建設大手の安藤ハザマと、健康・医療関連製品の開発やデータ解析を得意とするTAOS研究所は、人が身に付けることができる小型のセンサー「ウェアラブルセンサー」を使って、自動的に建設作業員の疲労度を測定できるシステム「バイタルアイ(Vital Eye)」を開発しました。

 バイタルアイの仕組みは次のようになっています。建設作業員の頭部に装着したヘッドバンドタイプのウェアラブルセンサーを使って、脈波(心臓が血液を送り出すことによる、血圧・血管の体積の変化)と体温をリアルタイムで測定。同時にヘルメットに取り付けた計測デバイスで、暑さ指数(湿温度や日射・放射熱などから算出する熱中症予防を目的とした指標。別名「WBGT」)を算出します。

 これらのデータを、通信機器を使ってクラウド上に転送し、専用の解析プログラムを使って収集したバイタルデータ(体温や心拍数、心電などの生体情報)を評価します。脈波の変動から自律神経のバランスの乱れを分析するノウハウを用いることで、身体的な疲れだけではなく精神的な疲れを定量的に測ります。測定・分析結果は管理モニターで確認が可能。疲労が検知された場合は本人や現場管理者に警告を発することもできます。

 安藤ハザマではすでに実証実験を実施し、熱中症予兆や疲労の検知に関する有効性を確認済みとのこと。これが実用化されれば、炎天下での建築作業リスクがぐんと減り、作業員の方も無理せず安心して作業に集中できるようになるでしょう。

本人も気付かない体の危険を可視化する「バイタルデータ」とは…

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執筆=小島 高広

フリーライター。長年BPOサービス企業にてサービスマネジメントやセールスプランニング、システム設計に携わる。ITとテクノロジーそしてビジネスの3つの視点から各種の記事を執筆中。

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