偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第27回)発明品を商品に変えた伊藤喜十郎のビジネス戦略

雑学

公開日:2018.08.23

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 オフィスに並ぶ、イス、机。そして、書類棚一杯のファイル。イトーキはそんなオフィス家具・オフィス用品の大手メーカーです。ビジネスツールの中でもパソコンや通信機器などの情報機器を扱っている企業と比べると、地味なイメージがあるかもしれません。しかし、その事業の始まりは、日本にそれまでなかった発明品を次々と取り扱う、最先端ビジネスでした。

 イトーキの創業者・伊藤喜十郎は1855年、大坂(大阪)・船場の両替商の六男として生まれました。実家が三井家の分家筋に当たるため、創業間もない三井銀行に入社。会社員として生活を送っていました。そんな喜十郎の一大転機となったのは、1890年3月、上野で開催された第三回内国勧業博覧会に見学に行ったことでした。

 博覧会には、興味深い発明品が多数展示されていました。「こんなにいいものがたくさんあるのに、なぜ市場に出ないのか」。喜十郎は、発明特許品を商品にして普及させる事業を思い立ちます。発明家にいいアイデアがあっても、商品化する費用や販売ルートがなく、結局アイデア倒れになっているケースが少なくありませんでした。これは社会の損失だと考えたのです。

 喜十郎は銀行を辞め、退職金で東京・木挽町に事務所を開設。「世の中の役に立つよう、あなたの発明を商品にさせてください」と各地の発明家に声を掛け始めます。そして同年12月、伊藤喜商店を大阪の高麗橋に創業しました。発明特許品の販売を事業とする商店です。

 ただ、この事業には失敗も多くありました。氷で冷やせば長時間冷たさが持続するコンニャク製の水枕は、氷を入れたゴムの水枕のほうが便利ということで受け入れられませんでした。ランプのすすを掃除するランプ掃除器も、電燈の普及により需要がほとんどなくなります。しかし、喜十郎は「卵を100産んで3つかえったら大成功」の精神で新しい商品に挑み続けます。

金庫やレジスターなどヒット商品を連発…

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