防犯カメラといえば倉庫や駐車場、道路、市街地などに数多く設置されている。その目的は、窃盗、車上荒らし、不法投棄などの犯罪抑止にある。さらには犯罪が起こった際の捜査資料や裁判の証拠としての役割も大きい。
その効果は統計に表れている。警察庁が2017年1月に公表したデータによると、2016年に検挙した刑法犯罪のうち、防犯カメラなどの映像が容疑者の検挙につながったケースが5.9%に上ったことが明らかになった。2016年、全国で起きた刑法犯罪は99万6000件あまりで戦後初めて100万件を割ったが、警察庁ではその要因の1つとして防犯カメラの普及を挙げている。
カメラの進歩で大きく広がる活用領域
防犯カメラ普及の背景にあるのは、カメラの技術進歩と価格低下だ。鮮明な映像が得られる小型カメラが増加して、かなり手軽に設置できるようになっている。犯罪が起こりやすい暗い場所でも、犯人の姿や特徴を正確に捉えて、犯人逮捕や犯罪抑止に大きな効果を上げている。
さらに防犯カメラの設置目的が多様になったことで、設置場所のバリエーションも広がっている。従来は出入り口のチェックが主流だったが、それ以外の場所に取り付けるケースが急増中だ。例えば、飲食店の店内。360度見渡せる特殊なカメラを1台取り付け、店員の動きや接客態度、レジの操作といった店舗内の全体の状況を記録する。そしてその映像を、犯罪防止だけでなく、店員の接客指導や来店客のクレーム分析に活用したりする。
工場で生産ラインにカメラを取り付けるケースも出てきている。作業現場を記録することで、異物混入などのミスを発見したり、作業工程の非効率な部分を把握し生産性向上につなげたりできる。
介護施設では、玄関など人が出入りする場所だけでなく、食堂や遊戯スペース、リビングなど生活スペースにカメラを設置するケースが増えている。入居者の様子を詳細に知ることができ、トラブルの際にも迅速な対応が可能になるなど多くのメリットがあるからだ。
ネットワーク対応でさらに高度な活用を実現…
防犯カメラ単体での性能アップだけでなく、ネットワークに対応したカメラが増えていることも普及を後押ししている。例えば、ネットワークで複数拠点のカメラを結べば、遠隔監視による省力化も可能になる。事業拠点から離れた場所にある倉庫や空き地といった人を配置できない場所でもリアルタイムに状況を把握でき、トラブルのリスクを減らすことができる。
ネットワーク対応のメリットを生かした防犯カメラの使い方をしているケースとしては保育園が挙げられる。遊戯室などにカメラを設置して、預かっている園児たちの様子を撮影し、保護者がスマートフォンでリアルタイムに画像を見ることができるようにしている保育園が出てきている。これにより、保護者は安心感が得られ、園への信頼度も上がる。
ただ、こうしたネットワークシステムを構築する場合、情報漏えいの対策も忘れてはならない。ネットワークを経由した映像を第三者に盗み見られてしまえば、大きなプライバシーの問題になる。防犯カメラ設置の目的は、犯罪被害やトラブルなどのリスクを減らすこと。設置したことによって、情報漏えいというリスクが増すのは本末転倒だ。ネットワークを構築して防犯カメラを導入するなら、その点に注意を払いセキュアなシステムにする必要がある。
こうした課題を解決するサービスとして、NTT西日本の「セキュアカメラプラン スタンダード」※1がある。このサービスの大きな特長は、VPNというセキュアなネットワークでシステムが構築されること。インターネットのようなオープンな環境ではなく、閉ざされたネットワークを利用するので、映像の外部流出や不正取得を防止することができる。
また、撮影した映像データは、本体のストレージとともに、クラウド上にも保存される。災害や故障で録画したデータがなくなる心配が少ないのも利用者にとっては心強い。
監視だけにとどまらない。広がる活用法
セキュアカメラプラン スタンダードでは、カメラで撮影した映像データの分析機能があるのでマーケティングにも活用できる。自動集計機能による来訪者数や来店客の動線密度など、かなり有用な経営情報を収集することが可能だ。
防犯カメラ単体やそれを活用したシステムやサービスを提供している事業者は非常に多い。自社の業態や利用目的をよく考えて、最適なものを選ぶ必要がある。カメラの画質、撮影範囲などが必要としているレベルに達していなければ、設置する意味はない。撮影データのチェック頻度や閲覧場所、保存先なども考慮する必要がある。さらに映像データの分析を行いたいなら、それに対応するオプションを用意したシステムでなければならない。
カメラの機能をチェックするだけではなく、システムやサービスでセキュリティーの確かな商品を選択しなくてはならないことは前述の通りだ。セキュリティーカメラの活用法は今後も広がっていく。どのような目的で使いたいかをしっかり整理して、それに最適なカメラ、システム、サービスを選ぼう。
※1フレッツ 光ネクスト等、プロバイダー、本サービスの契約・料金が必要
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