ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2018.04.16
次々とデジタルサイネージの活用法を提案するクロス・メディア・ネットワークス(以下CMN)の発想は、山下代表の妄想から始まるという。そんな同社の次の狙いは自動販売機だという。
近江商人の心得として「三方よし」という言葉が知られている。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の3つを指し、売り手と買い手が共に満足し、世間からの評判も良いのが優れた商売だという考え方だ。CMNではさらに「従業員よし」「株主よし」を加えた「五方よし」を企業理念に掲げている。
この「五方よし」の理念が大切だと山下代表が痛感したのは、16年にタイを訪れたときだという。タイは華僑系や欧米系の企業の進出も盛んな激戦区だ。
「そんな中で勝ち抜いていくには、地元の財閥など、有力者とつながりながら事業を営む必要がある。ただ売ればいいわけではない。『内輪』、つまり従業員や出資者との関係性を大切にしないといけない。そう実感しました」
システムエンジニアをはじめとする技術系のスタッフは、自分とは明らかに考え方が異なる。そんなスタッフと、価値観を合わせて働く上で役に立ったのがタイで感じた「五方よし」の考え方だった山下社長は語る。現在では、10人のシステムエンジニアがCMNの開発現場を支えている。
「システムエンジニアの仕事はあくまで、製品を作ることです。ビジネスのゴールはその製品を使って社会に影響を与えることです。その感覚の違いを埋めるには、命令だけではダメで、良好な関係を築く必要があります。五方よしの考え方を何度も伝えながら仕事を進めていきました」
デジタルサイネージのハードウエアは、1台数十万円の金額で提供している。サイネージだけを販売している企業と比べれば、倍以上の金額だ。高価なハードウエアをネットワークに接続することで、さらに月々の運営費用が発生する。運営費用の中から、アライアンスを結んでいる他社企業にサーバー利用料などが入るビジネスモデルになっている。
顧客にデジタルマーケティングの思考がない場合は、デジタルサイネージのハードウエアを購入し、映像データなどをUSBメモリに入れてデジタルサイネージに挿して、単なる電子看板としてだけ使うこともある。CMNが想定しているようなマーケティング施策にはとても及ばない、もったいない利用方法ではあるが、現実にそのような使われ方もしているという。
とはいえほとんどの顧客は、マーケティングによる課題解決を視野に入れて契約する。モニター単体なら、コスト的にもっと安価な企業は存在する。それでも、その先のマーケティングでの活用を視野に入れて、CMNと契約する企業が増えている。
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執筆=森部 好樹
1948年佐賀県生まれ。東京大学を卒業後、旧日本興業銀行に入行。香港支店副支店長などを経て興銀証券へ出向。ビックカメラで取締役を務め、2002年、格安メガネチェーン「オンデーズ」を設立し社長に。2007年共同広告社に移り、2008年同社社長に就任。2013年に退社して独立し、顧問業を専門とする会社、ロッキングホースを創業。現在代表取締役。
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