出張はビジネスに付き物。今日も多くのビジネスパーソンが国内、海外を問わず各地を飛び回っている。しかし、出張にはコストがかかっていることを忘れてはならない。移動のための交通費や宿泊代という明確な出費だけでなく、移動中は通常業務もできない。これらの負担は本当に成果に見合っているのだろうか。
そこで大切なのは、出張の目的を明確にすることだ。つまり、出張先で行う業務を分析して、本当に必要なのかを判断する。取引先の生産現場の視察や、自社で新しく設ける工場や物流施設の確認、重要な契約の締結といった目的なら、そこに行かなければならない。取引先経営者への表敬訪問も、時間をかけて来訪すること自体が意味を持つ。
一方、取引先担当者との定期的なミーティングや、他拠点の同僚との打ち合わせなら、主要な目的は情報交換だ。実際に集まって顔を合わせるメリットはあるが、それは毎回でなくても構わない。
上記のような分析、仕分けで現地に赴く必要がある出張に絞ったら、次のステップとして、旅費や宿泊費を適切に管理する仕組みを設けよう。今年7月、政府は国家公務員の出張費精算に関する改善計画を発表した。これは旅費の支給基準やルートの選び方を統一することで業務効率化を実現するための施策だ。政府が推進する「働き方改革」の一環としての役割を持っている。
出張コストを適切にチェックするには、一元管理が望ましい。最近は、簡単に出張コストを一元管理することができる企業向けサービスも登場している。代表的な2つを紹介しよう。
無駄な出張の省き方…
(1)じゃらんコーポレートサービス
リクルートが運営する旅行サイトの法人向けサービス。管理画面で宿泊実績を一元管理し、全社の出張の可視化が実現できる。宿泊規定に準じた検索、NGワード設定などによって不正出張の防止にも役立つ。通常より安い出張向けシークレットプランがあり、コスト削減にもつながる。法人一括決済サービスを利用すると、法人での後払いが可能。
(2)Bzit
大手旅行代理店JTBのサービス。国内・海外を問わず宿泊施設や交通手段を一気に手配できる。予約データから、「いつ、誰が、どこに、どうやって行って、どれくらいかかるか」を可視化。予約手配内容が把握でき、規定順守の徹底や内部統制の強化にもつながる。オプションの電子承認機能追加で、出張手配・申請・精算を効率的に管理・運用することが可能。
次に、出張の目的が情報交換やコミュニケーションの活性化だったとしても、本当にもっと効率的な代替手段は他にないのかを考えよう。相手に会う以外にも手紙、メール、SNS、電話など、多様なコミュニケーションツールがそろっている。
一番手軽なのは手紙やメール。それでは細かなニュアンスが伝わりにくいというなら電話を使えばいい。最近では、電話会議システムもそれほど費用をかけずに導入できるようになった。複数拠点を結んだ多数の参加者がいるような会議も可能だ。
ただ、電話では相手の顔は見えない。人の感情は、微妙な表情に表れることも多い。相手を見ながらのほうが細かなニュアンスはやはり分かりやすい。電話による情報交換では物足りないケースもあるだろう。この問題の解決策の1つが「テレビ電話」「テレビ会議」の導入だ。以前は、小さなモノクロ画面、静止画だったり、コストが非常に高かったりといった問題があったが、最近は非常に使いやすくなっている。
1対1の情報交換ならテレビ電話で対応することも十分可能。複数の拠点を結び、多人数でミーティングをしたいならテレビ会議を採用すればよい。テレビ会議は、カメラ・マイク・制御装置などをパッケージ化した専用システムも多数発売され、すでに多くの企業が導入している。最近は、専用システムではなく、日ごろ使っているパソコンにカメラなどを接続して簡単にテレビ会議が行える「Web会議」にも注目が集まっている。
これらのツールを活用し、コミュニケーションをおろそかにせず出張費を抑えることができれば、ビジネス効率化が大きく進む。最近は安価に導入できるサービスも各種そろっている。以前ならコスト面で断念したという向きも、再度検討してみてはいかがだろうか。